[シドニー 30日 ロイター] - 経営破綻した豪航空会社ヴァージン・オーストラリア・ホールディングス<VAH.AX>の管財人は30日、同社の買収に関心がある8社に対して、情報へのアクセスを認めたことを明らかにした。

別の約12社にも情報へのアクセスを認める方向で協議を進めている。6月末までの売却を目指す方針も示した。

管財人であるデロイト・オーストラリアのボーガン・ストローブリッジ氏は「5月中旬までに拘束力のない提案を受け付け、6月中に拘束力のある提案の提出を義務付ける。6月末までに売却するという目標を達成できると引き続き確信している」と述べた。

ロイターはこれまで、ヴァージン・オーストラリアの再建に、投資会社のアポロ・グローバル・マネジメント、オークツリー・キャピタル・マネジメント、BGHキャピタルなど10社以上が関心を表明していると報じている。[nL3N2CA28X]

関係筋によると、航空会社に投資している米投資家連合インディゴ・パートナーズも関心を示している。インディゴはコメントを控えた。

また、管財人は債券保有者に対する利払いを停止し、4カ月以内に同社の売却先を決めるためにモルガン・スタンレーと助言契約を結んだと債権者らに明らかにした。債権者会議に参加した関係者が明らかにした。

ヴァージンは今月、任意管理に入ると発表。新型コロナウイルス危機で経営破綻を余儀なくされたアジア太平洋地域最大の航空会社となった。管財人にはデロイト・オーストラリアが任命された。

関係者によると、デロイトのボーガン・ストローブリッジ氏は30日の債権者会議で、管財人側が今週、ヴァージンに関心があり、守秘義務契約を結んだ企業などとのデータ共有を開始したと説明。質の高い買収提案を見込んでいると述べたが、関心を示している企業の名前は明かさなかったという。

デロイトの広報担当はコメントの求めに応じていない。

前出の関係者によると、デロイトはまた債権者らに対し、2回目の債権者会議の期限を5月22日から8月22日に延期するよう裁判所に申し立てる考えも示した。社内事情を調査し、売却先を探すさらなる時間的猶予を確保するためだという。

ヴァージンの債務の内訳は、銀行などに対する23億豪ドルの担保付き債務、20億豪ドルの無担保債券、19億豪ドルの航空機リース代金、4億5000万ドルの従業員への支払いとなっている。裁判所の資料によると、貿易金融業者に対する1億6700万豪ドル、不動産賃料の7100万豪ドルも債務として残っている。

関係者によると、債務は削減される見通しだが、ストローブリッジ氏は会議で従業員への支払い義務を果たすのに恐らく十分な資産があると指摘。また、同社の現金保有残高を維持するために債券の利払いを停止したことも明らかにした。対象となる債券の総額は試算しなかったという。

管財人が全事業の売却先を模索する中、ヴァージンは限られた路線の運航を継続している。

*内容を追加しました。