[29日 ロイター] - 米フェイスブック<FB.O>が29日に発表した第1・四半期決算は、売上高が市場予想を上回った。また企業の広告支出について、4月第3週までに安定化の兆しが見られるとした。

引け後の時間外取引で株価は9%急伸した。

フェイスブックは、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため世界各国で導入された外出制限によって3月は広告収入が「急減」したものの、4月初めからの3週間はほぼ前年並みになっているとした。

新型コロナを巡る不透明感を受け、フェイスブックが多くの顧客を抱える中小企業や直販企業などで広告予算を削減するなどの動きが出ていた。

WPP傘下マインドシェアのイノベーション責任者ジム・クリドリン氏は、フェイスブックが過去1年間に広告主の多様化に力を入れ、大手との関係も強化したことが、中小の落ち込みを補ったとの見方を示した。

広告売上高は前年比17%増の174億4000万ドルで、リフィニティブのアナリスト予想平均である173億6000万ドルを上回った。

総売上高は177億4000万ドルで、150億8000万ドルから増加。予想平均は174億4000万ドルだった。ただ、増収率は18%と過去最低の水準となった。

月間アクティブユーザー数は29億9000万人超で、前期の28億9000万人から増加した。ただフェイスブックは、外出制限が緩和されるにつれてソーシャルメディアの利用はやや減少するとの見通しを示した。

イーマーケッターのアナリスト、デブラ・エイホ・ウィリアムソン氏は、4月の広告収入が前年並みとなっていることについて、世界各国が外出制限を解除し、企業が段階的に業務を再開するに伴い、第2・四半期は第1・四半期より厳しくなる可能性があると慎重な見方を示した。

第1・四半期の総経費は1%増の118億4000万ドルと、アナリスト予想の5.6%増を大幅に下回り、営業利益率は前年同期の22%から33%に上昇した。

2020年の総経費見通しは従来の540億─590億ドルから520億─560億ドルに引き下げた。人員増加の鈍化に加え、出張やイベント、マーケティング活動の取りやめを理由に挙げた。

同社幹部らは、商品・技術職を中心に今年1万人を新規採用する計画を進める一方、広告営業などビジネス部門の採用は削減する方針を示した。

マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、今年は利益率の低下が見込まれることを受け入れるとする一方、「ここで急ブレーキを踏む」のではなく、投資計画を維持したいとの考えを示した。

他社が投資を控えれば、手元資金が豊富なフェイスブックにとってはある意味「好機」になるとし、事業構築や投資の継続を目指すと述べた。

その上で、景気が悪化する中でも自社の財務は健全であり、高い利益率を維持する重要性があらためて浮き彫りになったと指摘し、いずれは支出を抑制していく考えを示した。

*内容を追加します。