[ワシントン/ニューヨーク 28日 ロイター] - ロイターの集計によると、米国の新型コロナウイルス感染者数が28日、累計100万人を突破した。世界全体の感染者総数の3分の1を占める。

感染者数は過去18日間で倍増。しかし、検査キットの不足や検査能力の欠如によって確認されていないケースもあるとみられ、実際の感染者数はより多い可能性がある。

米国の感染者数はイタリアやスペイン、フランスのおよそ5倍に上る。ロイターの集計によると、感染が最も深刻な20カ国のうち、米国は人口1万人当たりの感染者数が約30人と5番目に多い。最も多いのはスペインの48人で、ベルギー、スイス、イタリアと続く。

新型コロナ感染症による米国内の死者は前日から2000人以上増えて5万8233人となり、ベトナム戦争の米死者数5万8220人を超えた。

州別ではニューヨーク州が米国内の感染者総数の約30%を占め、ニュージャージー、マサチューセッツ、カリフォルニア、ペンシルバニア各州が続く。

一方、新型コロナ感染拡大で休止状態にある経済活動再開に向けた動きも複数の州で強まっている。

先週、各州の先陣を切ってロックダウン(都市封鎖)措置を一部緩和したジョージア州では前日、レストランでの店内飲食や映画館の営業再開が容認された。テキサス州知事も前日、5月1日からレストランや小売店などの営業を段階的に再開する方針を示した。フロリダ州知事は29日にロックダウン措置緩和の行程表を示す見通し。

カリフォルニア州のニューソム知事は28日、製造業や店の外で受け渡しを行う小売店など「リスクの低い職場」について、検査や追跡の拡充に伴い今後数週間中に再開できるとの見通しを示した。

同州保健当局者は、在宅勤務が不可能なオフィス業務など非必須事業や保育施設も第1段階の再開対象に含まれると説明した。

ニューソム知事は、州内の学校について、休校に伴う学習の遅れを補うとともに労働者の仕事再開を可能にするため、早ければ7月にも新年度を開始する可能性があるとした。

また「数カ月ではなく数週間後には意味のある変更を行えるだろう」と述べた。

一方で、ネイルサロンなど比較的リスクの高いビジネスや、コンサートなど大規模集会の再開には数カ月かかるとの見通しを示した。

同知事は外出制限の解除時期をまだ示しておらず、安全面の条件を満たした段階でオレゴン、ワシントン両州と連携して経済を再開する考えをこれまでに示している。

一方、感染の「第2波」を巡る懸念から、ロックダウン措置の緩和を先送りする州も少なくない。

ニューヨーク州のクオモ知事は、新型コロナ感染症による新規入院者数の3日移動平均が約1カ月ぶりの水準に減少したものの、経済活動を再開させる前に、病床利用が70%を下抜け、感染者1人が何人に感染させるかを示す「基本再生産数」が1.1を下回ることを確認したいとの考えを示した。

米商工会議所は、経済再開に向け、連邦、州、地方政府による整合性のある政策を要求。同時に、企業活動再開を阻害する恐れがあるとして、公共衛生に関する指針の策定には異議を唱えた。

ワシントン大学のモデル分析に基づく米国内の新型コロナ感染症による8月4日までの死者予測は7万4000人超と、前回予測の6万7000人から上方修正された。

一部州で新型コロナ危機が安定期に差し掛かる兆しが垣間見られる一方、ハワイ、ミシシッピ、テキサス、ワイオミング、ユタ、ネブラスカ、ノースダコタの7州はピーク時にある、もしくは数週間中にピークを迎える可能性があるとみられている。

*内容を追加しました。