[ニューヨーク 23日 ロイター] - 投資家は、コモディティー(商品)通貨のショート(売り持ち)積み増しに動いている。原油は今週、歴史的な急落を演じたが、原油価格の回復は目先ないと多くの人が信じていることを示すサインと言えそうだ。

米国産標準油種(WTI)<CLc1>5月限は今週、史上初めて価格がマイナスとなった。原油価格はその後数日は持ち直しているが、投資家の多くは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた世界の需要減退は数カ月続く公算が大きく、原油や資源国通貨が圧迫されると考えている。

BNPアセット・マネジメントの為替部門トップ、Momtchil Pojarliev氏は「原油価格の暴落は、世界経済が非常に悪い状態にあるという私の見方を裏付けるものだった」とし「この状態からすぐに抜け出すことはできないだろう」と語った。

新型コロナ感染拡大の影響で原油から工業用金属まであらゆる資源の需要が蒸発する中、コモディティー通貨の下落を見込んだ取引はここ数カ月、利益を上げている。

特に下げがきついのはブラジルレアルで、年初来36%下落。メキシコペソは30%下げた。鉄鉱石を輸出するオーストラリア、乳製品輸出国のニュージーランド、産油国カナダの通貨は9─10%下落した。

Pojarliev氏によると、BNPは現在、豪ドルとニュージーランド(NZ)ドルを売り持ちにしており、積み増しも検討しているという。

メルク・インベストメンツの創業者で最高投資責任者(CIO)のアクセル・メルク氏は、今週の原油急落以前からクオンツファンドでノルウェークローネをショートにしており、現在でもこのポジションを維持していると語った。

また、ミレニアム・グローバル・インベストメンツのリチャード・ベンソン共同CIOは、カナダドルを最近売り持ちにし、豪ドルのショートを維持していると話す。

BofAセキュリティーズは、コモディティー通貨は今後、一段と下落すると予想。最近のリポートで「原油市場の動揺は、マクロ経済の下押し圧力を示唆しており、コモディティー通貨への圧力となる」と指摘。「唯一の確実なのは、COVID─19(新型コロナ感染症)の危機が続く間は不確実だということ」との見方を示した。

(Gertrude Chavez-Dreyfuss記者)