[ワシントン 21日 ロイター] - 全米リアルター協会(NAR)が21日に発表した3月の米中古住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比8.5%減の527万戸だった。下落率は2015年11月以来の大幅なマイナスとなった。新型コロナウイルス感染拡大を抑えるための異例の措置を受け、消費者が住宅購入を停止したことが背景。市場予想は8.1%減の530万戸だった。

3月の統計は、新型ウイルスによって経済活動が停止する前の1月と2月の契約を反映している。3月の前年同月比は0.8%増だった。

春は通常、住宅販売が好調だが、4月は販売がさらに急減するとみられる。

中古住宅販売は住宅市場全体の約90%を占める。

州や地方政府は新型ウイルスの感染拡大を抑えるため「自宅待機」や「外出自粛」を指示し、90%以上の人口に影響している。経済活動は急停止し、3月21日以降、最低2200万人が失業保険を申請した。

最近発表された3月の統計は軟調で、エコノミストは米経済が第1・四半期に第二次世界大戦以来の大幅な落ち込みを記録したとみている。第1・四半期の国内総生産(GDP)速報値は29日に公表される。

JPモルガンのエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「新型コロナの影響により、3月下旬の取引が一部成立しなかった可能性がある」と指摘。「感染拡大で住宅市場の活動が低下していることを示す様々な指標を考慮すると、中古住宅販売は今後一段と悪化する可能性が高い」と述べた。

住宅市場は、18年第1・四半期から19年第2・四半期まで弱含んだ後、低い住宅ローン金利が追い風となり回復基調にあった。

3月の中古住宅販売は全4地域で低迷。中西部で7.1%、人口の多い南部で9.1%、西部で13.6%、北東部で3.1%それぞれ減少した。住宅在庫は前年同月比で10.2%減の150万戸だった。

販売価格中央値は前年同月比8.0%増の28万600ドルだった。

ただ、MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「リセッション(景気後退)下では、失業した住宅所有者が住宅ローンを支払えず売却を余儀なくされるため、住宅価格は低下する」との見方を示した。

3月の販売ペースに基づく在庫の消化期間は3.4カ月。昨年3月の3.8カ月から減った。健全な需給バランスには6ー7カ月が適切とされている。