[ロンドン 20日 ロイター] - 世界銀行は、感染症の打撃を受けた途上国に対する資金支援枠組みで、新型コロナウイルスの影響を受けた国への資金支出の準備が整ったと明らかにした。ただ、支援を必要とする国に実際にいつ資金が届くかは不明だ。

この制度は世界銀行が2017年に創設した「パンデミック緊急ファシリティー」。PEF債(パンデミック債)と呼ばれる債券であらかじめ投資家から資金を調達した上で、感染症のパンデミック(世界的流行)が発生した際、一定の条件を満たせば、資金を途上国に提供する仕組み。

2018年のコンゴ民主共和国でのエボラ出血熱の流行時、世銀はこの枠組みで資金提供を表明したものの、支援金が実際に同国に届くまで1年ほどかかり、それまでに2000人以上の死者が出たことから、批判を浴びた。

世銀は、新型コロナの感染規模や拡大範囲、感染の増加率など、資金提供の条件が全て満たされたとし、総額1億9584万ドルの資金を提供すると説明した。

今後、76の途上国にどのように資金を配分するかを決定するという。

世銀グループの一機関である国際復興開発銀行(IBRD)が発行したパンデミック債は、パンデミック発生と認定された場合、途上国の感染症対策に充てるため元本が取り崩されるリスクがあるため、投資家には高いクーポンが提供されている。

一方、投資家を優先した市場ベースの解決策で、途上国のニーズは後回しになっているとの指摘や、感染拡大状況や死者数など、資金提供の条件が複雑で厳しすぎるとの声が出ている。