[ロンドン 17日 ロイター] - 17日欧州時間の原油先物は下落している。トランプ米大統領が示した米経済再開への指針を好感してアジアの取引では当初急伸していたが、その後に発表された中国の第1・四半期国内総生産(GDP)の内容を嫌気して下げに転じた。

0815GMT(日本時間午後5時15分)時点で、北海ブレント先物<LCOc1>は0.1ドル(0.4%)安の1バレル=27.72ドル。期近の米WTI原油先物<CLc1>は1.54ドル(7.8%)急落し1バレル=18.33ドル。より活発に取引されている6月限は0.03ドル(0.1%)安の1バレル=25.50ドル。

期近の米WTI原油先物の急落は、期日が21日に迫っているとともに、原油在庫が急速に積み上がっていることが背景にある。

ライスタッド・エナジーの石油市場責任者、Bjornar Tonhaugen氏は「製油所の稼働が大幅に低下し続けているため、市場は米原油在庫が急速に積み上がることを見越している」と語った。

中国国家統計局が同日発表した第1・四半期のGDPは前年同期比6.8%減少、四半期の統計がさかのぼれる1992年以降で初のマイナスとなった。新型コロナウイルス感染拡大抑制に向けた措置により、工場や交通機関、ショッピングモールが閉鎖されたことが響いた。

これより先、トランプ大統領は16日に米経済再開に向けた指針で、各州は状況に応じて3段階で封鎖措置の解除を進めるべきとの考えを示した。

ライスタッドのTonhaugen氏は「トランプ大統領の封鎖解除計画に対する熱狂は冷めつつあるようだ。トレーダーらは経済が一夜にして回復するわけではないことに気付いている」と指摘した。

原油先物は週間では2週連続で下落する見通し。

石油輸出国機構(OPEC)は16日、新型コロナウイルスの流行に伴う「歴史的なショック」を理由に、2020年の世界石油需要見通しを下方修正。一段の引き下げもあり得るとの見解を示した。

米石油大手コノコフィリップス<COP.N>は16日、経費削減に加え、石油生産を今年の目標に対して約30%縮小すると発表した。減産規模は過去最大。予想外の石油需要減に対応していく。

INGは「OPECプラスの枠組みの外で、強制的な減産合意がなくても、かなりの規模の減産が行われるということだ」と指摘、原油価格の急落が減産せざるを得ない要因になっている、との見方を示した。

*内容を更新しました。