[16日 ロイター] - 米金融大手モルガン・スタンレー<MS.N>が16日発表した第1・四半期決算は32%の減益となった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)の影響で、M&A(企業の合併・買収)関連業務や主力のウェルスマネジメント事業が低調となった。また、新型コロナ感染拡大による業績への影響は今後数カ月続く見通しとした。

ゴーマン最高経営責任者(CEO)は電話会見で、新型コロナの影響で国内外の経済が打撃を受ける中、第2・四半期も中期の財務目標を達成できないのは確実だとの見方を示した。

同CEOは、エコノミストが第2・四半期の米国内総生産(GDP)で30%減を予測していることに触れ、「荒れた局面にある」と指摘。新型コロナの影響を受ける前に設定した短期目標を堅持するようなCEOは全く理解できないと述べた。

普通株主帰属利益は15億9000万ドル(1株当たり1.01ドル)と、前年同期の23億4000万ドル(同1.39ドル)から減少した。リフィ二ティブのまとめたアナリストの1株利益予想は1.14ドルだった。

金融市場の混乱を背景にウェルスマネジメント事業の収入は8%減の40億4000万ドル。

M&A動向が低迷する中、助言関連業務の収入は11%の落ち込みとなった。

半面、市場のボラティリティーを追い風にトレーディング収入は30%急増。債券トレーディング収入は29%増、株式トレーディング収入は20%増だった。すでに決算を発表している競合のJPモルガン・チェース<JPM.N>やゴールドマン・サックス<GS.N>のトレーディング収入も好調な結果となっている。

投資管理部門は14%の減収。投資ポートフォリオの価値目減りや金利低下などが背景。

ゴーマンCEOは「新型コロナ感染拡大を受け、市場のボラティリティー、不透明性、不安は過去2カ月にかけ、金融危機時以上に高まった」と述べた。ゴーマン氏自身も同ウイルスに感染し、回復したばかり。

モルガンSの決算をもって、米大手行の第1・四半期決算は出そろった。新型コロナ感染拡大を背景とした大幅減益や貸倒引当金の大幅積み増しが顕著となった。失業者の増加で融資の返済が滞ることが予想されているが、大規模な消費者融資事業を持たないモルガンSは他行に比べて業績への影響は比較的軽度にとどまった。

モルガンSは今年1月、長年据え置いてきた成長目標を引き上げ、2年以内に有形自己資本利益率(ROTCE)13─15%を達成するという目標を掲げた。同時に効率比は70─72%、ウェルスマネジメント事業の税引前利益率は28─30%という目標を設定した。

第1・四半期は3つの目標をすべて下回り、ROTCEが9.7%、効率比は77%、ウェルスマネジメントの税引前利益率は26.1%となった。

ゴーマン氏は、2021年末までにこれらの目標の一部を「確実に」達成できるとしながらも、景気低迷前に立てた目標だと指摘。「ここで目標にあらためてコミットすれば無責任になる」とし、「第2・四半期には達成できない。第1・四半期の達成も不可能だった」と述べた。

モルガンSは2月にオンライン証券のイー・トレード・フィナンシャルを約130億ドルで買収すると発表した。同社はこれについて、第4・四半期に手続きを完了する見通しとした。

*内容を追加しました