The Virtues of a Confrontational China Strategy - The American Interest
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米国の対中政策を日本がどのように捉えているか、匿名の日本政府関係者がアメリカン・インタレスト誌に寄稿している。基本的な認識は、オバマ政権までの対中関与政策が失敗に終わり、中国を矯正(shape)できるという前提は幻想だったという、マイケル・ピルスベリー『CHINA2049』の主張に類似している。そして、日本はかねてより中国の拡張主義的動向を米国に伝えてきたが、ようやくトランプ政権になって戦略的競争として結実したという。トランプ政権は同盟国を軽視する傾向がありいただけないが、それはオバマ政権の関与政策よりはましだ、というかなり踏み込んだ見解も示している。
習近平主席訪日とともに日本が中国シフトを図っているのではないか、という見方と全く異なる見解で注目に値する。海外(特に米国)の読者に、日本の対中認識の厳しさを示すことは意義があるし、米中二国間の秩序が形成できるというナイーブさを注意喚起することは、特に米大統領選を前に重要であるように思う。
他方で、この論考では「では、なぜ日本は中国に接近しているのか」という疑問に答えることはできない。日中首脳会談(2018年10月)では「競争から協調へ」という原則さえ確認されている。経済産業省を中心に第3国市場協力を推進するなど、日本の対中政策はむしろ選択的な関与政策を推進しているように思える。
こん論考は、日本の対中政策の全体像を示すには至らないが、対中政策の底流にある競争原理を示すものといえそうだ。トランプ政権の対中政策をそれなりに評価し、オバマ政権のものを強く否定する「現役の日本の政府関係者」の寄稿。政権が変わる可能性があるこのタイミングで寄稿するのは日本の国益にプラスかマイナスか微妙。ただ、それだから匿名。