[クアラルンプール 6日 ロイター] - 国営マレーシア航空の持ち株会社に対し、元同社関係者や航空業の専門家などが創設した非公開会社「ゴールデン・スカイズ・ベンチャーズ(GSV)」が25億ドルで完全買収する案を提示した。GSVの幹部らが6日、明らかにした。欧州の銀行から資金を確保したという。

GSVは1カ月前に買収を提案。航空業界は新型コロナウイルスの世界的流行を受けた世界各国の渡航制限で苦境に立たされている。

GSVのシャリル・ラミン最高経営責任者(CEO)はロイターの電話取材に対し「(欧州の)銀行から25億ドル強を確保した。長期の資金で、受け取りに3─4カ月を要するだろう」と述べた。

GSVによると、日本のプライベート・エクイティ(PE)会社もマレーシア航空グループへの出資を約束したという。他の海外銀行やPE会社からも出資を得るために協議していると明らかにしたが、関与している企業の名前は伏せている。

GSVは、マレーシア航空の唯一の株主である政府系ファンドのカザナ・ナショナルと契約を結んでいるモルガン・スタンレーに買収案を提出した。

関係筋はこれまで、日本航空(JAL)<9201.T>のほか、マレーシアのエアアジア<AIRA.KL>とマリンド・エアがマレーシア航空に関心を寄せたと明らかにしている。

GSVは、マレーシア航空の政府への債務の大半も引き継ぐと表明した。

カザナとモルガン・スタンレーはコメントの求めに応じていない。

GSVの提案では、政府は、マレーシア航空の議決権の過半数を維持し、同社が国を代表する航空会社「フラッグキャリア」であり続けることを可能にする「黄金株」を引き続き保持する。

GSVは、買収後3年以内に利払い・税・償却前(EBITDA)ベースで黒字化を目指しており、2025年の売上高は150億リンギ(35億ドル)を目標としている。

幹部らによると、3─5年後の上場あるいは傘下部門の上場が視野に入っているという。

GSVの副CEO、ラビンドラン・デバグナム氏は新型コロナウイルス終息後の渡航需要の反動増に期待していると指摘。「新型コロナがどれだけ長引くかにかかわらず、2021年夏以降に事業が盛り返すと期待している」と述べた。