[ロンドン 6日 ロイター] - 英首相官邸は6日、新型コロナウイルスに感染し5日に入院したジョンソン首相(55)の症状が悪化し、集中治療室(ICU)に移されたことを明らかにした。首相は意識があるが、人口呼吸器が必要になった場合の予防的措置だと説明した。

首相が仮に職務遂行が難しくなった場合、どの閣僚が代理を務めるかについて明確な規定はない。ただ、ジョンソン氏はラーブ外相に首相代理を務めるよう既に要請している。

首相は、新型コロナ検査で陽性が判明してから10日以上過ぎても高熱などの症状が続いたため、5日夜に検査入院した。

首相官邸は先に、ジョンソン氏は元気で、職務を継続していると明らかにしていた。ただ、6日午後に症状が悪化し、1800GMT(日本時間7日午前3時)前後にICUに入った。入院先はロンドン中心部にあるセント・トーマス病院。

関係筋によると、ジョンソン氏は酸素吸入を受けたという。

首相官邸の声明は「きょう午後に首相の症状が悪化し、医療チームの助言により、病院のICUに移された。首相は筆頭国務大臣であるラーブ外相に、必要に応じて代理を務めるよう要請した」とした。「現時点で首相は意識がある」という。

首相がICUに入ったニュースを受け、英ポンドは1ポンド=1.230ドルから1.221ドルに一時下落した。

ジョンソン氏は3月26日に新型コロナ検査を受け、陽性反応が出ていた。

首相の報道官は先に、ジョンソン氏が肺炎を発症しているかとの質問に回答を避けた。ただ、ICUに移されたことは、深刻な容体である可能性を示している。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の医用画像学教授、デレク・ヒル氏は「ジョンソン氏が極めて容体が悪いことは疑いようがない」と指摘。世界の新型コロナ感染症の症例をみると、特に40歳以上の年代で、女性よりも男性の方が重症化するケースが多いと説明。同時に、60歳前後かそれ以下の人々は、高齢者よりも、重症な容体から回復する確率が高いようだと語った。

フランスのマクロン大統領は「この困難な時にジョンソン氏とその家族、英国民に心からの励ましの言葉を贈る」と述べ、「この試練の時にジョンソン氏の早期回復を願う」とした。

ラーブ外相は6日、ジョンソン首相がICUで治療を受けている間、政府は首相の新型コロナ対策の実行に引き続き取り組むと表明した。

ラーブ氏は記者団に対し「政府の仕事は続く」とした上で、「政府としては、新型コロナに打ち勝ち、この難局を乗り切ることができるようジョンソン首相の計画を推し進めることに注力する」と述べた。

ラーブ氏は先の記者会見で、テキストメッセージか電話でこの日にジョンソン首相と連絡を取ったか質問され、首相と最後に話したのは4日だと回答していた。

ジョンソン氏は喫煙者ではないが、最近、体重を落としたいと述べていた。

*内容を追加しました。