[ワシントン 6日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は6日、新型コロナウイルスの発生源となった中国で限定的ではあるが経済に回復の兆しが見られ、希望を与える内容だと述べた。ただ、中国やその他の国でパンデミックが再発する可能性を除外できないとした。

IMFの上級エコノミストらはブログで、新型ウイルスによって世界が景気後退(リセッション)入りしたとし、世界金融危機時よりも深刻な景気後退との見方を示した。さらに、世界各国が協調して公衆衛生・経済対策に取り組むように呼び掛けた。

IMFエコノミストは「新規感染者の急増や、政府が導入した感染拡大を抑えるためのが外出自粛対策に伴い、世界各国で景気への打撃が深刻化している」とした。

ロイター調査によると、世界の感染者数は125万人を突破し、死者数は6万8400人に上る。

同ブログでは、中国の購買担当者景気指数(PMI)が今年初めに急低下した後、小幅に改善してきたと指摘。産業・輸送活動を計る上で参考にする衛星データが示す中国上空の二酸化窒素の量は、外出自粛規制が徐々に緩和されていることを示しているとした。

また、「中国の回復は限定的であるものの希望を与える内容だ。外出自粛対策が感染拡大を抑え経済活動を再開させる効果があることを示唆する」とした。「ただ、パンデミックの先行き不透明は高い。中国やその他の国で感染拡大が再び起きる可能性を除外できない」とも指摘した。

イタリアやスペイン、フランスなどの欧州各国は現在、感染拡大のピーク期にあり、米国もそれに続いている。また、新興国や発展途上国では感染拡大が始まったとみられている。

新型ウイルスによる打撃は新興国市場に波及し始めており、多くの国の製造業PMIは生産が急減速していることを示す。

米国の感染拡大は「前代未聞の速さと深刻さ」との見方を示し、その打撃が現在現れているとした。3月の最終2週間に1000万人近い人が失業保険を申請し、世界金融危機のピーク時より急速に増加していると指摘した。