[2日 ロイター] - 米格付け会社ムーディーズは2日、オーストラリアの銀行システムの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた貸倒引当金の増加や低金利が利益率を圧迫するとしている。

銀行の財務基盤と資産の質は良好で、当面は不良債権に対応できるが、経済の混乱が長期化した場合、資本が目減りする可能性や住宅ローンの焦げ付きが増える可能性があるという。

オーストラリアの4大銀行は住宅ローンが収益の柱となっているが、一連の利下げで利ざやの縮小圧力が強まっている。

ムーディーズは、利益率が縮小する公算が大きいとする一方、政府の大型経済対策で企業活動や消費が支えられれば、融資のデフォルト(債務不履行)リスクが緩和する可能性があると分析している。

格付け会社S&Pグローバルも1日、不動産価格の急落と経済見通しの大幅な悪化で深刻な景気低迷に見舞われれば、銀行の格下げにつながる可能性があるとの見通しを示した。

ムーディーズは、ニュージーランドの銀行システムの見通しも「安定的」から「ネガティブ」に変更した。今年の経済成長が鈍化すれば、不良債権の拡大につながる恐れがあるとしている。