【活躍】コロナ物資不足に立ち向かう「オープンソース軍団」

2020/4/2

ロボット会社社長の「決意」

ギー・カヴァルカンティ(33)は、医療を学んだことも、災害対策に携わったこともない。だが、目の前の世界が突如としてディストピアと化した今、彼は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに立ち向かうべく、医療用品の開発に取り組む国際的な活動をFacebookで展開している。
「本業でもない仕事のために、これほどハードに働くことになるとは思ってもみませんでした」。ニューヨーク・タイムズのメール取材で、カヴァルカンティはそう語っている。
検査用手袋から人工呼吸器まで、コロナ対策に欠かせない医療用品の不足が続く中、カヴァルカンティの呼びかけに応えて、世界中のオープンソース・マニアがネット上に集った。彼らは力を合わせ、人命救助に重要な役割を果たす機器や設備を自作するための方法を収集している。
カヴァルカンティがフェイスブックで立ち上げたグループの名称は「オープンソースCOVID19メディカル・サプライ」。活動の目的は、世界中で深刻化している医療用品の枯渇に対して、クラウドソーシングで解決策を提供することだ。
ロボティクス会社「メガボッツ(MegBots)」の社長であるカヴァルカンティは、当初、人工呼吸器にフォーカスして活動を展開しようと考えていた。
しかし、サンフランシスコでコロナ対策の前線に立つ医師から、もっと身近な分野に注目すべきだと説得されたという。つまり、除菌剤や医療用手袋・ガウン・マスクといった品々だ。人工呼吸器が何台あっても、それらを使いこなせる医療従事者がいなくなってしまったのでは、世の中の役には立つまいというのである。

切迫する「医療用品不足」