[東京 23日 ロイター] - 前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比80円63銭高の1万6633円46銭となり、反発した。時間外取引で米株先物が軟化したほか、アジア株式市場も波乱商状となる中で、買い戻す動きが活発化し底堅く推移した。引き続き環境は厳しいものの、日銀のETF(上場投資信託)買いに対する期待も下支え要因になっているという。

新型コロナウイルスの影響はとどまるところを知らず、世界各国では外出禁止令を実施する国が増えたほか、東京オリンピック・パラリンピックの延期も現実味を帯び始めるなど、以前として警戒感が強い。これらを背景に、米株先物が時間外取引で急落して始まったものの、日本株は粘りを示している。

前週末に日銀のETF買いが過去最大となる総額2016億円買い入れたと発表したことで、市場では「さすがに日銀が本腰を入れてETFを買うとなると、投機筋は売り込めなくなり、買い戻しが活発化したようだ」(東洋証券・ストラテジストの大塚竜太氏)との声が聞かれる。

さらに「個別では売られ過ぎと思われていた銘柄に買いが入っている。底入れのタイミングにきたというムードもあるようだ」(ネット系証券)との指摘もあった。TOPIXは0.11%安で午前の取引を終了した。東証1部の売買代金は1兆8345億2200万円。東証33業種では、値上がりは医薬品など10業種だった。

個別では、トヨタ自動車<7203.T>、ソニー<6758.T>など主力の輸出関連株が総じてさえない一方、武田薬品<4502.T>など薬品株に高い銘柄が目立っている。指数寄与度の大きいファーストリテイリング<9983.T>、ソフトバンクグループ<9984.T>なども堅調だった。東証1部の騰落数は、値上がりが876銘柄に対し、値下がりが1230銘柄、変わらずが60銘柄だった。