政府・自民 法人税の納付期限 1年程度延長を検討
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法人税の納期限の延長(延滞税なし!)は資金繰り面では非常にメリットが大きいですね。また、中小企業の固定資産税免除は喜ぶ会社さんも多いでしょう。現場を見ている税理士としては、消費税の納期限(予定納税を含む)も延長して欲しいものです。
ただ、本当に経営に困窮している法人はそもそも赤字で課税所得が生じていない可能性が高く、納期限の延長といっても納付する法人税額が無く、実質的に何の恩恵も受けられないことも考えられます。
したがい、記事に記載の検討内容に加えて、法人税まわりということであれば、欠損金関係の制度の拡充も非常に期待しています(例えば、欠損金の繰戻還付制度の適用対象事業年度の増加や住民税や事業税にも繰戻還付を適用可能にする、大企業の繰越欠損金の損金算入制限(50%)を全額損金算入可能に緩和する、など)。
ご参考までに、簡単に欠損金に関する現行制度を記載しておきます。
(1)欠損金の繰戻還付制度
当期の課税所得がマイナスの場合、中小企業者等(資本金1億円以下などの要件を満たす法人)は、1年前まで納税した法人税が還付される制度があります。
(国税庁HP)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5763.htm
(2)大企業向けの繰越欠損金の損金算入制限
繰越欠損金(過去9年~10年に発生したマイナスの課税所得)がある場合は当期に発生するプラスの課税所得と相殺することが可能ですが、資本金が1億円を超える法人などは、相殺額の上限が当期の課税所得の50%に制限されます。
(国税庁HP)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm緊急融資制度も構築されましたが、殺到と申込み審査長期化でその前に倒れそうな企業が出つつあるようです。それを受けての緊急対応と思いますし、重要かと。
加えて、感染者が出現した際の消毒コストなどを嫌気する動きも出ていますし、その場合の補助金制度も今後必要になると思います。もしもに備えての治療や検査を受けるインセンティブ設計も必要になってくると思います。日本のGDPは、日本国内で人々が働いて1年間に生み出すモノやサービスの価値。公務員さんの給与など様々なものが含まれますが、売れば直ぐカネになる天然資源が乏しい我が国で、国民を本当に豊かにするGDPは、広い意味での企業活動が生み出すモノやサービスの価値しかありません。いま最も警戒すべきことの一つは、GDPを生む企業の資金繰りが行き詰り、次々倒れて行くことです。
税金は、未払いの賃金や仕入れ債務などより先に払わなければならない重い義務。儲かっていて倒産し難い企業ほど相対的に法人税が大きく、延期の恩恵を受け易い、という構図の中で、どれだけの企業が救われるかは分かりませんが、国の資金繰りに余裕があるなら、公共の福祉に資する政策だと考えて良いように思います。
ちょっと疑問が浮かぶのは、納税延期で未払いの税金を抱えた企業が倒産した時どうなるか。実態的に賃金や仕入れ資金の支払いが優先され、税金を取り損ねることも起こりそう。税金が労働債権にすら優先するのは、税金が全国民の公共の福祉に供すると考えられているからで、納税延期を認めることは、その原則を多少崩すことに繋がります。そういった問題はあるものの、緊急事態への対応として、やっていいんじゃないのかな。(^^)v