[19日 ロイター] - 東南アジア株式市場は下落。マニラ市場の下落率は過去最大となった。新型コロナウイルスをめぐる懸念が強まる中、他の市場も値を下げた。

 マニラ市場の主要株価指数PSEiは13%超下げ、8年超ぶりの安値を記録。一時は24.3%下落した。

 アジア市場では株、金、コモディティー(商品)が売られ、先進国と新興市場の債券利回りが上昇した。企業やブローカーが手じまい売りを出し、現金を確保する動きが強まった。ドル買いが膨らみ、アジアの通貨は値を下げた。

 ジャカルタの総合株価指数は5.2%安。過去6営業日で4度目のサーキットブレーカーが発動された。

 インドネシア中央銀行は新型コロナの影響を踏まえ、今年の同国成長率見通しを下方修正。市場予想通り、0.25%の利下げを決めた。

 フィリピン中央銀行は0.50%の利下げを決定。これは市場予想を上回る下げ幅だった。

 シンガポール市場は4.7%安と、7営業日続落。クアラルンプール市場の総合株価指数KLCIは1.6%安。

 マレーシア中央銀行は法定預金準備率を1.00%引き下げた。マレーシアは新型コロナ対策で2週間の封鎖措置を実行している。

中国株式市場は下落。ただ、一段の景気対策期待を受けて下値は限定的となり、前場の大幅安からは値を戻した。

指数は前場は3%超下落していた。

野村東方国際証券(上海)のアナリストは、足元のA株式が相対的に底堅いのは、中国政府が景気対策を行うとの大きな期待を背景に売買高が増加し、流動性が高まっているためだ、とした。

また、中国での新型コロナウイルスの感染拡大が一服していることも下支え要因となった。

中国本土で18日に確認された新型ウイルスの新たな感染者は、いずれも海外からの入国者で、感染源とされる湖北省武漢市でも初めて新規の感染者が確認されなかった。保健当局者らは、最悪期は脱したとの認識を示した。

ただ非居住者は、中国本土と香港の株式相互取引経由で90億元超相当のA株式を売却した。

前出のアナリストは、外国人投資家はリスク回避行動としてまず新興国市場へのエクスポージャーを削減する傾向にあるため、このところの資金流出額は比較的大きい、と指摘した。

香港株式市場も下落。ただ、中国の追加景気対策への期待を受けて、下げ渋る展開となった。

ハンセン指数は午前の取引で一時5%以上値下がりし、2016年半ば以来の安値を付けていた。

市場関係者を対象とした調査によると、中国は20日に発表する銀行貸し出しの指標金利、ローンプライムレート(LPR)を引き下げる見通し。

また、商務省幹部が19日明らかにしたところによると、中国政府は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けた輸出企業に対し、財政面や金融面、輸出取引信用保険の分野などで支援策を講じる方針。また、サービス業にも稼働再開の加速に向けた支援を行うという。

ソウル株式市場は続落。8%超の急落となり、約11年ぶりの安値を付けた。新型コロナウイルスをめぐり、世界的に政策対応が発表されているが、パニック状態が続いている。

総合株価指数(KOSPI)は2009年7月17日以来の安値で引けた。一時9.5%安となった。年初来では33.67%安。

この日は取引を20分間中断する「サーキットブレーカー」が発動された。

海外投資家は約4億9080万ドル相当の売り越し。

シドニー株式市場は続落。4年超ぶりの安値を付けた。オーストラリア準備銀行(中央銀行)が予想通り利下げや量的緩和に踏み切ったものの、新型コロナウイルスが経済に及ぼす影響をめぐる懸念が根強い。

S&P/ASX200指数は今月約26%下落している。

コムセックの市場アナリスト、スティーブン・ダリアン氏は「新型コロナウイルスの感染拡大が頭打ちとなり始め、改善と(有効な)ワクチンの兆しがみえるまで、こうした中銀の対応にもかかわらず現在のような不安定な値動きが続くだろう」と指摘した。

金融株指数<.AXFJ>は7%安と、2012年6月以来の安値で引けた。四大銀行のうち3行が約8%急落し、コモンウェルス銀行が4.7%安だった。

エネルギー株指数<.AXEJ>は7%下落し、04年2月以来の安値を記録した。サントス<STO.AX>は12.4%安。ウッドサイド・ペトロリアム<WPL.AX> は約16年ぶりの安値を付けた。

旅行関連では、カンタス航空<QAN.AX>が15.4%安。同社は国際線の運航を当面停止すると発表した。フライト・センター・トラベル・グループ<FLT.AX>は33%急落し、10年超ぶりの安値を記録した。

一方、ヘルスケア株指数<.AXHJ>は2.6%高。CSL<CSL.AX>は約5%高。