[ブリュッセル 18日 ロイター] - ユーロ圏当局者が新型コロナウイルス流行による経済的損害の抑制に向け、救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)を活用することを検討している。これにより欧州中央銀行(ECB)によるイタリア国債購入拡大への道が開ける可能性があるという。

ESMは財政危機によって市場からの資金調達が困難になったユーロ圏加盟国に対する最後の貸し手として創設された。現時点では4100億ユーロの金融支援が可能で、ESMの活用により不安定な国債市場の安定化につながるとの見方もあるが、ESMはパンデミック(世界的流行)のような緊急事態への特別な対応手段を持っていない。

ただ当局者2人によると、全てのユーロ圏加盟国によるESMの信用枠申請が検討されているという。これにより、経済支援や健全な金融システム維持に向け必要に応じて多額の資金が供給可能であることを市場に示すとした。

イタリアは欧州最悪の新型コロナ感染国となっているが、高債務国であるためESMの予防的信用枠(PCCL)の対象外となっており、加盟各国は条件強化信用枠(ECCL)による申請が余儀なくされる見込み。ECCLを通じた支援が行われれば、ESMによる発行市場での国債購入が確約され、ECBによる無制限の国債買い取りプログラム(OMT)が可能になる。

ESMの資金はECBの出資比率に応じて分配される可能性があり、そうなればイタリアには非常に多額の資金が提供されることになるという。