【実践】10年後の資産をつくる。テンバガー投資を実現するヒント
フィデリティ投信 | NewsPicks Brand Design
2020/3/18
株価10倍銘柄を意味する「テンバガー」。もともとは野球1試合で10塁打をあげることを指すスポーツ用語だったが、それをウォール街で使い始めたのはフィデリティ・インベスメンツの伝説的なファンドマネージャーのピーター・リンチといわれる。
その教えを受けた愛弟子が、リンチ直伝の投資戦略を駆使して運用する投資信託が日本に上陸した。
大化けや株主優待を狙う個別株投資や、市場平均を取るインデックスファンドを使った積み立て投資が全盛の中、劣勢にあるアクティブ投資信託でテンバガーを狙うのは可能なのか。
元祖「テンバガー・ハンター」ピーター・リンチの影響を強く受け、自らもテンバガー投資に成功した個人投資家の井村俊哉氏と、世界有数の資産運用会社であるフィデリティ投信の堀智文氏が、コロナショックで大荒れ相場の中、ビジネスパーソンの資産形成について語った。
テンバガーの条件は「成長」と「割安」
井村 フィデリティといえば、かつて2000万ドルから140億ドルまで成長した同社の伝説的な投資信託「マゼラン・ファンド」を運用したピーター・リンチが、僕にとっては神様みたいな存在です。
株式投資を始めたばかりのころ、リンチの著書を読んで、大きな影響を受けました。リンチの「調査無しで投資することは、手札を見ないでポーカーをするのと同じである」という言葉が大好きで、いわゆる「億り人」になれたのも、この教えを実践してきたことが大きかったと思っています。
堀 それはうれしいですね。リンチは数多くのテンバガー投資に成功した元祖「テンバガー・ハンター」と称される人物です。
彼は著書などを通じて「10倍株のヒントは身近なところにある」と、プロの投資家だけでなく個人投資家にもチャンスが広がっていることを説いています。株式投資で100万円を3億円にした井村さんは、まさにそれを証明していますね。
井村 今日はイチ投資家として、投資信託業界の方にひと言言わせてもらいたいと思って来ました。
日本の上場企業は3700社ほどですが、投資信託は6000本もあります。本来は個別株を選別できない人でもお任せできるのが投資信託のメリットなのに、これじゃあ「株より多いやないかい!」とツッコまずにはいられません。
個別株選びより難しいし、安易に作っているようにも見えてしまいます。
しかも、低コストで市場平均と同じ成果を狙うインデックス投資信託ならともかく、市場平均を上回る成果を狙うアクティブ投資信託には、運用コストが高いのに成果はインデックスに負けているものも多いですよね。
堀 おっしゃる通りです。市場の効率性が高まり(情報があっという間に株価に織り込まれる)、苦戦を強いられているアクティブ投資信託は多くあります。
ただ、十把一絡げにアクティブがダメというわけではなく、一貫した投資哲学で好パフォーマンスを出しているアクティブ投資信託はあります。インデックスが主流になればなるほど、アクティブ投資家にはチャンスとも言われています。
昨年までいわゆるテーマ型投資信託が人気でしたが、成長期待ばかりが先行し、リターンが伴っていない投資信託も散見されます。もちろん上手くいくケースもあるのですが。
井村 成長期待銘柄って、人気化するのでどうしても割高になりますよね。僕のYouTubeチャンネルで「億り人になるための2つの秘訣」という動画を作ったんですけど、そこで紹介している条件が、「成長銘柄を」「安く」買うということです。
やっぱりこの2つがそろっていないと、儲からない。これは10年の投資経験で実感しています。
どんな相場でも、「テンバガーの原石」はある
堀 同感です。「成長」だけでは不十分で、「割安」だけでも心もとない。両方を満たすことで継続的な株価上昇が期待できます。
「明日の株価がどうなるかという発想ではなく、10年後も高い企業価値をもち、社会に必要とされる企業であり続けられるかという視点が重要」と、ジョエルは著書の中で説いています。
最近は新型コロナウイルスの影響で株式市場は乱高下していますが、年明けまでは世界の株式市場は高値圏にありました。「バブルでは?」と警戒する声や、「こんな相場で割安な銘柄は残っていない」という声も多く聞かれました。
でも世界には約4万8000社もの上場企業があり、その中に割安な成長銘柄がひとつもないなんてありえません。
どんな相場にも、テンバガーの原石は必ずあります。まして、足元ではコロナショックで大きく株価が調整し、世界中でテンバガーの原石が増えているわけです。
井村 僕もそう思います。本当は経済成長が鈍化している日本より、米国などの海外のほうが「テンバガー候補」を見つけやすいと思うのですが、なかなかハードルが高いです。
僕は消費者向けのビジネスなら、必ずお店に行ったり商品を確かめたりしますし、株主総会に足を運んだり、IR(投資家向け広報)に問い合わせもするのですが、外国株はそれも難しい。
堀 そういう方こそ、投資信託を検討してほしいですね。
当社がこの3月に新規設定する「フィデリティ・世界割安成長株投信(愛称:テンバガー・ハンター)」は、フィデリティの約380人の運用調査部隊が世界中の株を調査し、ピーター・リンチの直弟子であるジョエル・ティリングハストが運用を指揮しています。
同じ戦略の投資信託は米国で1989年に設定されていて、約30年の運用期間で43倍のリターンをはじき出しています。同期間のグローバル株式全体の成長は9倍なので、これまでのアクティブ投信に不満をもっていらっしゃる井村さんでも、きっと共感していただけると思います!
井村 圧がすごい(笑)。でも、ピーター・リンチの直弟子が運用しているというのは、興味を惹かれますね。やっぱり中小型株やテンバガーにこだわっているんですか。
堀 こだわっているのは、成長株を安く買うこと──この一点です。この投資哲学を相場に惑わされることなく30年貫いた結果、43倍というリターン実績を出しました。
これまで75.8倍まで上昇した米・アンシスという銘柄を筆頭に、数多くのテンバガー投資に成功してきました。日本株でもテンバガーを達成したコスモス薬品を保有中です。作業服大手のワークマンの投資で11.6倍の成果を挙げた実績もあります。
当戦略では、大型株に比べ、割安な成長株が多い、中小型株の組入れが多くなっています。
あの“ワークマン”に16年前から投資
井村 ワークマン! 最近の代表的な上昇銘柄じゃないですか。株価がグングン上昇して、良品計画やローソンといった優良企業を時価総額で追い抜いていくのを見て、すごいなあと指をくわえて見ていましたよ。
それを2003年に投資していたなんて……。日本でもそんな時期に発掘できた投資家の話はほとんど聞きませんね。
堀 ジョエル自身も定期的に来日して、投資候補の企業を訪問しています。ワークマンは2018年に売却した後も株価は急上昇しているので、結果としてはもう1年保有していればもっと利益を膨らませられたことにはなりますが。
井村 それよりも十分な利益を上げてしっかり売却していることも驚きです。ピーター・リンチは著書で「成長産業である必要はない」とか「社名はイケてないほうが魅力的」といったことを書いていますが、ワークマンはまさにそういう銘柄ですね。
投資家はつい、旬のテーマを持つ企業やキラキラしたハイテク銘柄に心惹かれがちですが、テンバガーの原石はこういう地味なところにもあるんですよね。
堀 中長期的な利益成長が期待される企業に株価が割安なうちに投資して、上昇をじっくり待つ──そういう投資は、市場が高値圏にあっても、たとえバブルであっても強いんです。
過去、市場が大きな下落に見舞われたときでも、下げ幅が小さく抑えられたり、早く回復できたりしました。
井村 ちょっと意地悪な質問ですが、そこまでおっしゃるなら、ご自身でもこのファンドを購入されていたりするんでしょうか(笑)?
堀 私はこの商品を、子どものジュニアNISA口座で投資する予定です。ジュニアNISAは18歳になるまで原則換金できないので、長期でじっくり育てていく当ファンドはぴったりだと思います。子どもの進学資金がテンバガーになったらうれしいですし。
井村 おお~! それはすごい! 中の人が、10年以上拘束されるジュニアNISAで投資してるというのは、信念を感じますね。
投資のスタイルに「正解」はない
堀 個人の資産運用の戦略には様々ありますが、投資資産を柱となるコア部分とサテライト部分に分ける「コア・サテライト戦略」はおもしろいと思います。長期でじっくり成長を狙うこの商品は、コアに据えるにふさわしい商品だと思っています。
例えば、資産の7割前後を占めるコア部分でじっくり腰を据えた投資をして、残りのサテライト部分では機動的に利益を狙っていく。
でも、井村さんのように個別株投資が大好きで、銘柄研究に時間を取れる人なら個別株をコアにすればいいですよね。あるいはつみたてNISAとインデックス投信を利用して、市場の成長をコツコツ取っていくのもいいと思います。
コアに据える投資は、自分が共感できて長く付き合える投資が一番です。
井村 同感です。僕は残念な企業も含めて市場丸ごと投資するインデックス投資は性に合わなくて、良いと信じた銘柄にしぼって投資していますが、どうしてもメンテナンスの手間は必要です。四半期ごとの決算や月次売上は必ずチェックしていますし、ほったらかしというわけにはいきません。
アクティブ投信は、この修練が必要な作業を自分の代わりにしてくれて、さらに一個人では調べきれない世界の割安成長株を発掘してくれるわけですから、全然アリだとは思うんですよね。
あとは、数%のコストを超過するパフォーマンスが出るのか? そして、運用方針に共感できる良い投資信託に出会えることが前提になりますけど。
堀 投資のスタイルに正解はありませんが、唯一言えるのは、何もしないのはもったいないということです。投資には「時間」が大きな味方になるので、なるべく早く始めて時間のメリットを享受するのがトクです。
米国では社会人になると基本的に401k(確定拠出年金)に加入し、積み立て投資を通じて自分の年金を作っていきます。従って、若いうちから投資に向き合う環境があり、米国フィデリティの顧客でも30歳で平均約1000万円の年金資産ができています。
井村 30歳で1000万円とは! 老後2000万円問題なんて余裕ですね(笑)。
僕は投資の魅力を伝えたくて国内初の投資・経済に特化したYouTuberのマネジメント事務所「Zeppy」を起業しました。おかげさまで多くの人に所属YouTuberの動画を観ていただいていますが、それだけではいつか壁にぶつかってしまう気もしています。
個別株で勝ち続けるには勉強や研究は不可欠ですが、だれもが投資に時間をさけるわけではないからです。「資産を増やしたかったら勉強してね」というスタンスだけでは、魅力は伝えきれないという限界も感じています。
そこで、いつかはすべてお任せできる投資信託を作りたいと考えるようになりました。忙しい投資家に代わって僕らが株式市場を徹底リサーチして、有望企業を発掘・投資するんです。
さすがにフィデリティさんみたいに約400人の運用プロフェッショナルを雇って世界中の市場をウォッチするのはムリですが、日本人として頑張る日本株を組み入れていきたいですね。
堀 素晴らしい夢ですね。そうやって投資のすそ野が広がることで、より多くの人が豊かな老後を迎える社会を実現できると思います。目下、コロナショックで株式市場は大きく荒れていますが、長期的な視点で資産運用に臨むことが重要だと思います。
一緒に頑張っていきましょう。
(構成:森田悦子 編集:奈良岡崇子 写真:矢野拓実 デザイン:小鈴キリカ)
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