[東京 12日 ロイター] - 前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比1003円82銭安の1万8412円24銭となり、大幅に続落した。

新型コロナウイルスの感染がパンデミック(世界的な大流行)の段階に進んだことが投資家心理を圧迫する中、取引時間中に行われたトランプ米大統領の演説が失望を誘った。時間外取引で米国株先物が軟化。為替の円高進行もにらみながら日経平均は1000円超に下げ幅を拡大した。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が11日、新型コロナ感染拡大がパンデミックに相当すると表明。オーバーナイトの米国株市場でダウ平均は1460ドル超下げ、2008年の金融危機以来初めて弱気相場入りした。

これらを受け、日経平均は前営業日比351円55銭安で続落スタート。その後、安値圏でしばらくもみあっていたが、トランプ米大統領が日本時間午前10時頃から始めた演説で、欧州からの米国への入国を向こう30日間全面的に停止すると発表。新型コロナに対する景気対策で具体策が示されなかったことも嫌気され、一気に下げの勢いが強まった。

市場からは「欧州からの入国制限もサプライズだったが、給与税減税の話がほとんど出ず、景気対策として具体策に乏しかったことが市場の失望を誘った」(第一生命経済研究所の主任エコノミスト、藤代宏一氏)との声が出ていた。

TOPIXは4.78%安で午前の取引を終了。東証1部の売買代金は1兆7347億円だった。東証33業種では、すべて大きく値下がり。海運、不動産、精密機器、金属製品、鉱業、サービス業などが値下がり率上位となった。

東証1部の騰落数は、値上がりが26銘柄に対し、値下がりが2133銘柄、変わらずが6銘柄だった。