[シアトル/パリ 11日 ロイター] - 米航空機大手ボーイング<BA.N>は11日、新規雇用や残業を原則凍結する方針を明らかにした。2度の墜落事故を起こした「737MAX」の運航停止に加え、新型コロナウイルスによる影響が広がる中、手元資金を確保する。

2月に設定した138億ドルの融資枠を早ければ13日にも使い切るとの関係筋の情報が伝わったことも重しとなり、株価は18.2%の大幅安となった。

カルホーン最高経営責任者(CEO)は従業員向けのメモで、「顧客やサプライヤーの苦境」によって生じる事業への圧迫に対応するため必要な措置を講じると説明。「どの企業でも厳しい局面で現金を保全することが極めて重要だ」とした。

同社の方針について知る関係筋によると、一時解雇なども「現実的な可能性」ではあるものの、現時点ではなく今後の選択肢と考えられているという。

別の業界筋は、737MAXの運航停止が1年を迎え、旅行需要も急減する中で航空業界は厳しい状況に置かれているため、人員削減はあり得るとの見方を示した。

ボーイング関係者は、現時点で人員削減の計画はないとしたうえで、状況を注意深く見守っていると述べた。

737MAXの運航再開は大幅に遅れており、早くても今年半ばとみられている。

関係筋によると、融資枠の全額利用は市場の不安定な状況を踏まえた措置で、737MAXの運航再開見通しが変わったためではないという。