[東京 11日 ロイター] - 前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比159円49銭安の1万9707円63銭となり、反落した。前日の米国株式市場が急激に切り返したほか、為替相場も円安に振れるなど好材料がそろったものの、時間外取引で米株先物が軟化したことから、売り優勢の展開となっている。朝方、前日比プラスとなる場面がありながら、きのうに続いて2万円に届かなかった。物色面は、輸出関連株でも自動車などが高い一方で、IT系に安い銘柄が目立つなど二極化している。

トランプ米大統領が9日、新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化を防ぐため給与税の引き下げなどの措置を検討するとし、同日の米国株式市場は急反発した。ダウ、ナスダック総合、S&P総合500種はいずれも5%近い上昇を記録。一方、ドル/円は105円台まで円安水準に振れるなど、不安ムードが後退した。

ただ、米株の急反発については、前日後半の戻りで織り込んでいたとみられるほか、朝方から時間外取引で米株先物が下落したことを受け、日経平均は一時前日比プラスとなる場面がありながらも、終始さえない展開となった。

市場では「いったん底打ちした様子はうかがえるが、注目された米国の対策の内容が具体性に欠けるものだったため、積極的に上値を買おうというムードにはなっていない」(野村証券・シニア・インベストメント・ストラテジストの田之上章氏)との声が聞かれる。 TOPIXは0.46%安で午前の取引を終了。東証1部の売買代金は、1兆5173億9200万円だった。東証33業種は、水産・農林業、電気・ガス業、海運業などの値上がり率が高く、不動産業、サービス業などの値下がりが目立つ。個別では、トヨタ自動車<7203.T>、キヤノン<7751.T>などが高い一方、ソニー<6758.T>は下落するなど主力の輸出関連株は高安まちまちとなった。自動車などが高く、5Gや半導体関連などIT系に下げる銘柄が多い。コマツ<6301.T>は高いが、東京エレクトロン<8035.T>はさえない。

東証1部の騰落数は、値上がりが993銘柄に対して、値下がりが1099銘柄、変わらずが73銘柄だった。