[北京/上海 9日 ロイター] - 中国国家衛生健康委員会の9日の発表によると、8日時点の中国本土での新型コロナウイルスの新たな感染者は40人と、前日の44人から減少した。湖北省以外の本土では、2日連続で新たな市中感染がなかった。

ただ、共産党中央政法委員会の陳一新秘書長は警戒を緩めてはならないとくぎを刺し、社会不安が高まるリスクを警告した。

同秘書長は「警戒を維持すると同時に、盲目的な楽観姿勢や戦い疲れに陥らないようにしなければならない」としたうえで、「(新型ウイルス)流行への警戒や、予防・封じ込めの要求を緩めるべきではない」と強調した。

8日時点の本土の新たな感染者は、国家衛生健康委が全国データの公表を始めた1月20日以降で最低となった。

湖北省の省都・武漢の新たな感染者は36人。残り4人は甘粛省の患者でイランからの感染流入だった。

感染流入は合計67件となった。

本土の感染者数は累計で8万0735人となった。

本土の死者は22人増え、累計3119人となった。

湖北省では新たに21人が死亡。このうち18人は省都の武漢で死亡した。

<当局は引き続き警戒>

中国国内の感染ペースは鈍化しているが、当局は海外からの入国者や職場復帰する労働者による感染拡大を警戒している。

上海では空港の検査を強化した。

中国では8日時点で5万8600人の入院患者が退院しているが、当局は再感染を警戒しており、退院した患者に14日間の隔離措置を指示している。

武漢の天河国際空港は「微博(ウェイボ)」上で、業務再開に向けて従業員のトレーニングや機材の保守点検、安全確認などを行っていると明らかにした。ただ、具体的な営業再開日が決まったことは意味しない。

陳秘書長は党中央政法委の「微信(ウィーチャット)」アカウントで、武漢の感染状況が改善していると認める一方で、予防・封じ込めの取り組みは依然として多大な努力を要すると強調。

ウイルスの大流行で社会不安のリスクが高まる可能性があると警告し、政府は社会の平和と安定に向けた計画を早期に策定すべきとの見方を示した。

一方、ポンペオ米国務長官は6日、中国が公表した新型コロナウイルスに関する「不完全な」データが米国のウイルス対応の妨げになったと述べ、情報入手を巡り中国政府に対するいら立ちをあらわにした。

これに対し、中国の英字紙チャイナ・デーリーは9日の社説で、米国で感染が急速に拡大しているのは米政府が中国の提供した情報に迅速に反応しなかったからだと反論。「米国の外交トップが根拠のない発言をするのは驚きではない。感染拡大が始まって以降、中国をひっきりなしに批判しているからだ」と主張した。

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