[トロント 5日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のポロズ総裁は5日、新型コロナウイルスの流行によって同国経済の底堅さが「根本的に試される」可能性があるとしたうえで、今週実施した利下げが経済への影響を和らげるとの見解を示した。

カナダ中銀は4日、政策金利を0.5%ポイント引き下げ1.25%とした。世界的に新型ウイルスの感染拡大が進む中、国内経済の下支えに向け必要なら追加利下げを行う用意を示した。

ポロズ総裁は5日、記者会見で前日の利下げについて、「慎重な対応ではなく、即時に効果が及ぶよう決定的かつ明確な措置を講じた。打撃を和らげるための十分な対応だったと信じている」と述べた。多くの国際協調が行われているとも指摘した。

新型ウイルスを巡る不透明感から、消費者や企業の信頼感が打撃を受ける可能性があるとし、追加利下げの用意をあらためて表明した。

カナダ経済については「ここ数年、良好な底堅さを示してきた。新型ウイルス流行の深刻度や影響が及ぶ期間にもよるが、そうした底堅さが根本的に試される可能性がある」と述べた。

総裁の発言を受け、カナダドル<CAD=D4>は対米ドルで下落し、1.3439カナダドルを付けた。

ポロズ総裁は最近の軟調な国内経済指標に言及し、「新型ウイルスを考慮に入れなくても政策を調整する理由が十分にあった」と指摘。

新型ウイルス流行以外にも、悪天候やガスパイプライン建設に反対する抗議行動など、経済に対する悪材料が存在するとし、第2・四半期にかけて「極めて緩慢な成長」が続く可能性があるとの見通しを示した。

また、最近の株安を踏まえ「企業や消費者の信頼感が一層悪化するリスクが実在し、一段と根強い景気減速を招く可能性がある」とした。

さらに、新型ウイルス流行を背景とした商品価格下落が西部のコモディティ生産地域の回復を遅らせ、そうした圧力がいずれ他の地域に広がることは不可避だと述べた。

金融市場は4月の追加利下げの確率を約70%織り込んでいる。

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