【解説】MRJが完成しない理由は、「日本の歴史」にある
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初の国産ジェット機と聞くとロマンがありますが、三菱重工に投資し続けるメリットがあるのかについては、検証の余地があると思います。
同じリージョナルジェット市場で戦うカナダのボンバルディアもブラジルのエンブラエルも、政府からの援助を受けたり、もともと国営だったりします。その環境下で、航空機を開発し、型式証明などのノウハウを蓄積してきました。
一方で今はWTOの規制が厳しくなり、政府が関与しすぎると輸出できません。その意味で、三菱重工は不利な立ち位置からのスタートなわけですが、それでも開発を諦めない姿勢は、尊敬します。
ただ逆に、1兆円程度を投下して10年以上も続けてきたが故に、三菱重工がやめられなくなっているのではないか気になります。ぜひ次の機会に、経営陣に投資とリターンの計算について聞いてみたいです。私がMRJ(今の三菱スペースジェット)を取材し始めたのは、2015年11月の初飛行のころ。そこからすでに4年が経ちましたが、プロジェクトのスピード感は、IT業界、電機業界、自動車産業のそれとまったく違います。ひとことで言うと「かなりゆっくり」で、本当に1人の若手社員がキャリアの一生をかけて、やっていくようなプロジェクト。
ある意味、日本で最もイノベーティブなメガプロジェクトだと思いますが、どこまで三菱重工1社でやり続けられるのか。正念場はこれからも長く続きますが、ホンダジェットの藤野社長のような開発者がどれくらいいるのも気になりますね。
昨日の記事もあわせて、ご覧ください。↓↓↓
◾︎【スライド解説】なぜ三菱重工は「民間ジェット機」を続けるのか
https://newspicks.com/news/4661801なぜ重工がMRJを続けるか?と言われれば、「ほかに将来を掛ける製品がない」という一言に尽きるでしょう。火力は衰退、原発はダメ、高速鉄道はインドがポシャり、そのほかの機械事業も屋台骨を支えるほどではないのが実情。その中で将来性がありある程度シェアも取れそうなのがリージョナルジェット、と。
ただ、リージョナルジェット市場に参入する=新造機を作って算入する、という式が正しかったのか、は後出しじゃんけんですが考えるべきでしょう。これまでにかけた金を考えれば、エンブラエルなりボンバルディアを市場参入時にどうにか買収するなどのアクションをして、経験を吸収してから新造機を作るというのが正しかったのでは。
また、多くの中小企業はMRJ需要を見越して生産設備の更新などを既に開始していると聞きます。なかなか飛ばないMRJのせいでその設備がどうなっているのか?という点も気を配る必要があるかと。裾野が広いというのは良いことのように思えますが、一方で重工の生産計画がズレれば、それだけ下請け企業(構内業者、部品業者、加工機械メーカーなど)にも負の影響が出ることにも気を留めないといけないのではないでしょうか。