D2Cブランド成功の鍵は「ワンイシュー」

2020/2/21
NewsPicksアカデミアでは、第一線の実践者によるMOOC(オンライン講義)、書籍、イベント、記事などを通じて、最先端の実学を提供しています。
今回は2020年1月20日に開催されたTakramディレクター・ビジネスデザイナー 佐々木 康裕氏と編集者の軍地 彩弓氏が登壇した「売れる『世界観』のつくり方 〜顧客を巻き込むD2Cのブランド戦略〜」の模様をまとめたイベント動画を配信します。
ここでは、動画の見どころを一部ご紹介します。

D2Cのポイントは「ワンイシュー」

軍地 成功したD2Cと、失敗したD2C、その差はどこにあるのでしょうかーー。
私が見てきた限り、成功しているD2Cの多くは「ワンイシュー」という特徴があります。
例えば、私が今日履いてきた「BIRDIES(バーディーズ)」。価格は140ドルくらいですが、とても売れています。
どこから見てもBIRDIESってわかるし、しかも中敷が全部クッションで歩きやすいフラットシューズ。最近は #KuToo (=ハイヒールが辛い)というハッシュタグができるくらい、フラットシューズが流行しています。
ショッピングモールやデパートに行くと、色々な靴が販売されています。
しかし、BIRDIESはフラットシューズのみで、まさに「ワンイシュー」に特化。すごくわかりやすいです。
最近では「前のシーズンを否定して、新しいものを登場させる」ところが、実は消費者目線ではなかったかもしれないと考えるようになりました。
ファッション業界は「前のものが古い、かっこ悪い」と言いながら、新作の販売を伸ばしてきた側面もあります。
しかし、消費者は自分にとって快適で、自分の問題を解決してくれる商品があれば1番いい。
佐々木 なるほど。例えばトレンチコートって、毎年流行が生まれますが、本来は毎年買わなくていいですよね、
軍地 そうですね。もうトレンチコートを何枚も持っていて、Tシャツも何枚も持っている。そうすると「必要なものしか買わない」という時代に変わってきました。
その消費者の変化が先に起きているにもかかわらず、既存のメーカーはまた同じようなサイクルで物づくりをしているケースが散見されます。

キーワードは「顧客と繋がる」

佐々木 なぜそのような売り方をしないといけないのか。それは「顧客とつながってない」からです。
従来のビジネスは、マスに向かって需要を喚起し、そこに大量のプロダクトを送り込む「一方向的なビジネス」が一般的でした。
一方で、D2Cは「顧客の情報」がわかります。
「いつ」「いくら買ってくれたか」、「どれくらい売れたか」、「一番最後に購入してから、どれくらい期間が空いているのか」。
ここまでの情報が取れるのです。
だから、「枕を買ったから枕カバーもいるかもしれない」とか、「シーツを1年前に買ったけど、そろそろ買い直したほうがいいかもね」とか、そういうパーソナライズされた提案ができる。
そうすると毎回売りつける必要はないので、売り方が変わります。
私はその売り方を「長いおつきあい型」・「結婚型」と呼んでいます。ずっと長い間付き合いながら、その中でキャッシュポイントが1年に1回なのか、半年に1回なのか見極めて、購買してもらう金額を徐々に積み上げていく。
そして、この積み上げでポイントになるのが「コミュニケーション」であり、「メディア」です。
やっぱり「この人、信頼できるな」とか、「この人はいつも自分にとって有益な情報をくれるな」とか、売り付ける感じではなく、「共感できる」、「応援したくなる」という感情を喚起させることが大切です。
それがD2Cのすごく大きな特徴かなと思いますね。
アカデミア会員の皆様は、こちらで動画の全編をご覧いただけます。

来週2月28日(金)は山口 義宏氏、高木 新平氏、久保田 夏彦氏が登壇したイベント動画 「新しいカルチャーを創るブランド戦略」を配信する予定です。

動画を通じて、アカデミアの「知」に触れていただければ幸いです。来週以降の配信もお楽しみに。