[香港/ロンドン 18日 ロイター] - 英金融大手HSBCホールディングス<HSBA.L>は18日、1000億ドル規模の資産圧縮を進めると発表した。投資銀行部門の規模を縮小するほか、米国と欧州の事業改革を実施。大幅な刷新となり、向こう3年で3万5000人の人員を削減する。

ノエル・クイン暫定最高経営責任者(CEO)はロイターに対し「人員は向こう3年で23万5000人から20万人になるだろう」と述べた。一部は退職者の補充をしない自然減で対応するとした。

HSBCは米国事業について、リターンを改善する必要があると指摘。224支店のうち約3分の1を閉鎖し、国際的で比較的裕福な顧客のみを対象とするとした。

グループ構造の簡素化に向け、リテールバンキング・ウェルスマネジメントビジネス部門をグローバルプライベートバンキング部門と統合し、世界最大級のウェルスマネジメント事業部門をつくるとした。

また、欧州の現物株部門については、取引支援に注力する中、セールスとリサーチ事業を縮小する。

HSBC株主として上位20位内に入っているアバディーン・アセット・マネジメント・アジアのマネジングディレクター、ヒュー・ヤング氏は「ある意味で、明らかなことで、周りからも求められていたことをやっていることになり、良いことだ」と指摘。「やるべきことは多く、どのように決着するか見る必要がある。ノエル氏は非常に厳しい環境でもよい仕事をしている」と述べた。

<19年通期は33%減益>

18日発表した2019年の通期決算は33%の減益。欧州の投資銀行・商業銀行部門に関連した減損処理が響いた。

主要な拠点を置く市場での景気減速、新型コロナウイルスの感染拡大、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る混乱の長期化、主要国中央銀行の利下げなど、HSBCを取り巻く環境は厳しさを増している。

ここ数年、アジア、とりわけ中国への多額の投資は利益をもたらしているものの、欧米では不振が続き、全体的なリターンは下がっている。

2019年の税引き前利益は133億5000万ドル。前年は198億9000万ドルだった。市場予想の平均は200億3000万ドル。収益の大部分はアジアで稼いでいる。

減益の主因は欧州のグローバル・バンキング&マーケッツ部門およびコマーシャル・バンキング部門での73億ドルの減損処理。

19年の自己資本利益率(ROE)は8.4%で、2018年の8.6%から低下。有形株主資本利益率(RoTE)は8.6%から8.4%に低下した。

HSBCは新たに45億ドルのコスト削減計画を掲げ、2022年の調整後のコストベースを310億ドル以下に減らし、RoTEを10━12%とすることを目指す。

2016年以降、約60億ドル相当の自社株買いをしてきたが、2年間凍結する。配当は維持する。

また「相対的に収益が高い分野」に1000億ドル超投資する計画で、価値ベースで資産は向こう3年間、横ばいと予想。今年と来年を中心に総額約60億ドルのリストラ費用を計上する見通しを示した。

HSBCは新型コロナウイルス流行について、スタッフや顧客に大きな影響があり、長期的に収入が減少するほか、サプライチェーンが阻害される中、不良債権が増加する可能性があると説明した。

*内容を追加しました。