(ブルームバーグ): 17日の東京株式市場で、在宅勤務の情報通信サービスを提供するテレワーク関連企業の株価が上昇している。新型コロナウイルスの国内感染が広がり、社内の情報共有やコミュニケーション用のソフトウエア開発などを手掛けるサイボウズ株は一時前週末比7.7%高をつけた。

NTTは14日、NTTドコモやNTTデータなどグループ各社に対してテレワークの実施を求めた。NTT広報担当の荒巻優三氏によると約18万人が対象になるという。ただ、業務内容によっては実施が難しいこともあり、具体的にどのような対策を講じるかは各社の判断になるとしている。同社はテレワークのほか時差出勤の活用や、集合会議の自粛などについても求めている。

日本経済新聞は17日からのNTTのテレワーク実施について同日付朝刊で報じた。アイザワ証券の市場情報部の坂瀬勝義国内情報課長は報道をきっかけに、東京五輪対応に加えて、テレワークの早急な体制作りの必要性が一層意識されていると指摘。ウェブ会議などのシステムの提供や導入サポートなどを行うブイキューブ、仮想デスクトップ関連の製品を開発するアセンテックも大幅に上昇した。

坂瀬氏は、テレワークによる業務が普及するためには、国内企業で遅れているクラウド化を進める必要があるとみている。クラウド関連では米アマゾン・ドット・コムのクラウドサービス「アマゾンコネクト」の導入などを手掛けるサーバーワークス株の上昇率が一時5%を超えた。

広がる在宅勤務の推奨

通勤時の感染リスクを減らして社員の安全を確保するため、企業の間に在宅勤務を推奨する動きが広がり始めている。三菱UFJ銀行は今月に入り、国内の本部勤務社員を中心に在宅勤務を推奨したほか、全従業員に対し時差勤務を勧めている。同社広報担当の長光香奈氏が明らかにした。

GMOインターネットでは1月27日から渋谷区、大阪市、福岡市のオフィスに勤務する社員約4000人を在宅勤務させている。広報担当の石井晴美氏によると、当初は2週間を予定していたが2月10日に延長を決めた。現時点では実施の期限は決めていないとしている。

日本マイクロソフトでは2016年から在宅勤務の制度を導入しており、現在はこの制度を活用して不要な出勤を避けているという。広報担当の手塚久美子氏は、部門によっては取引先との会合が必要なほか、機器がない状態では仕事を進められないケースもあることから、約2300人いる全社員が在宅で勤務しているわけではないと話した。

また、多数の人が集まる場所で感染のリスクが高まることから、大規模な会議やイベントの開催や参加を禁止する動きもある。Zホールディングス傘下のヤフーは約6500人の社員を対象に、勤務時間中に100人以上のイベントや会議の開催と参加を禁止した。広報担当の宮下健太郎氏が明らかにした。

同社は通勤ラッシュと重ならない時間帯の通勤も推奨しており、フレックスタイム制を利用する社員には、従来午前10時から午後3時までとしていたコアタイムを正午から午後3時までに短縮した。

(三菱UFJ銀行の取り組みを追加して更新します)

--取材協力:長谷川敏郎、小野満剛、日向貴彦、古川有希、萩原ゆき.

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