[モントリオール/北京/シンガポール 13日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中国や香港からの航空便運航が減少する中、財界幹部などの話によると、他地域への退避を望む富裕層の間でプライベートジェットへの需要が高まっている。ただ、渡航制限や乗員の感染への懸念などから、プライベートジェットの利用増加にはつながっていないもようだ。

新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受け、キャセイパシフィック航空<0293.HK>やシンガポール航空<SIAL.SI>などアジアの航空会社は大幅に便数を減らしている。

コンサルティング会社アセンド・バイ・シリウムによると、中国との間の国際線や同国の国内線の便数は1月23日から2月11日までに34%減少した。

こうした中、中国国内に残された人々は政府主導の退避に頼らざるを得ない状況だ。財界幹部などによると、資金のある人はプライベートジェットをチャーターするという選択肢がある。

しかし、プライベートジェット運航会社によると、厳しい検疫条件や中国籍の人々に対する渡航制限、乗員の安全への懸念から、中国便を運航する業者は2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時と比べ、ごく一部に限られているという。

シンガポールを拠点とするチャーター便運航会社マイジェット・アジアのローガン・ラビシュカンサー最高経営責任者(CEO)は「今回は運航会社や各国政府がウイルスの影響を受けている国へのプライベートジェットの利用に多くの制限を設けている」と指摘。「企業幹部はアジアを出入りすることを恐れ、困惑している。航空機の乗員も飛行に不安を抱いている」と話した。

プライベートジェット会社のビスタジェットとネットジェッツは、中国便の運航を停止したとしている。また、航空機メーカーのガルフストリームとボンバルディア<BBDb.TO>は今週のシンガポール航空ショーへの参加を取りやめた。