[ウェリントン 12日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は12日、今年初の政策決定会合を開き、予想通り政策金利のオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を1.0%に据え置くことを決めた。

ただ経済の先行きに自信を示し、必要なら追加緩和するとの文言を声明から削除した。これを受け、NZドルが急伸した。

中銀は雇用と消費者物価について、これまでよりも明るい見方を示した。

ロイター調査では、国内のリスク要因の後退などを理由に、エコノミスト全員が据え置きを予想していた。

中銀は声明で、新型コロナウイルスによるニュージーランド経済全体への影響について、短期にとどまり、大半が2020年前半に生じる可能性が高いとした。

目先の政策調整の必要性は示唆しなかった一方、新型コロナウイルスの感染拡大が経済成長により長期的な影響をもたらした場合は調整する余地があることをにじませた。

「一部の産業は著しい影響を受けている」とし、「より大規模で長期的な影響が生じるリスクがある」と指摘。その上で「より多くの情報が入手可能になるに伴い、必要に応じて金融政策を調整する時間がある」とした。

NZ中銀のオア総裁は記者会見で、新型コロナウイルスの流行について、約6週間で影響が和らぐことを中銀として想定していると説明。政府機関の助言に基づいたものだという。3月にかけて中国への渡航禁止措置が解除され、一定の事態正常化を見込んでいるとした。

総裁は「3月中に渡航制限が解除され、一部の影響は残るが一定の再正常化がみられる、というのが作業仮説だ」と発言。

中銀は今年の想定政策金利パスも、従来の0.9%から1%に引き上げ、利下げの可能性を排除した。

これを受けNZドル<NZD=D4>は0.9%上昇し1NZドル=0.6460米ドルとなった。[nL4N2AC0V2]

ウエストパック・ニュージーランドのチーフエコノミスト、ドミニク・スティーブンズ氏は「全体として、新型コロナウイルスがNZにとって深刻な事態に発展しない限り、年内は政策金利を据え置くようだ」と述べた。

<保険としての利下げは不要>

中銀は、2020年後半については、金融・財政面の景気刺激策や良好な交易条件などに支えられて経済成長が加速するとの見方を示した。ただ、今年初めは成長の勢いは軟調な状況が続いているとした。

NZ中銀は昨年、75ベーシスポイント(bp)の利下げを実施。インフレ率は目標レンジ(1─3%)半ばの2%に近づいており、失業率も低下している。

総裁は、新型ウイルスの影響を緩和するため「保険としての利下げ」は検討しなかったのかとの質問に「現時点では、特定のイベントに対応した利下げの必要性はないと判断した」と発言。

「金利はすでに非常に低く、景気刺激的だ。インフレ率は(目標レンジの)半ばにあり、雇用は最大雇用水準をやや上回っていないにしても、最大雇用水準にある。世界経済の成長も落ち着いており、出発点としては非常に良い」と述べた。

昨年のNZの経済成長率は2.9%と、やや予想を下回った。米中貿易戦争などが響いた。