[セントルイス 11日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は11日、中国経済は新型コロナウイルス感染拡大への対応措置により今年上半期は「目に見えて減速する」との見方を示した。

ブラード総裁はセントルイスのCFAソサエティーで行った講演で、「新型ウイルスの封じ込めに向け中国政府が打ち出した対策はかなりの規模で、これにより中国の今年上半期の経済成長は、こうした対策がない状態と比べ、目に見えて減速する」と述べた。

その上で、過去に重症急性呼吸器症候群(SARS)やエボラ出血熱などの感染症が流行した際は米国債利回りに「明らかな」影響が出たとし、こうした影響は流行が終息するまで継続したと指摘。現在も同様の状況になっているとし、2年債利回りのこのところの低下は、米経済に対する疑念などのリスクではなく、むしろ「中国を発生源とする新型コロナウイルスが世界経済に及ぼすリスクを反映している公算が大きい」と述べた。

連邦準備理事会(FRB)の金融政策については、昨年に実施した利下げで2018年の高成長からの「軟着陸(ソフトランディング)」に向けた地合いが整ったとし、米経済は大きく減速したり、リセッション(景気後退)に陥ったりすることなく、成長率が約2%である状態に戻れると指摘。「現時点での基調的な今年の見通しは、ソフトランディングが達成される確率が高いことを示している」と述べた。

また、通商を巡る先行き不透明性の緩和で製造業が盛り返す可能性があるとしながらも、中国情勢を見極めるために様子見姿勢を取る必要があるとの考えを示した。