[ブリュッセル 7日 ロイター] - ユーロ加盟国が今月17日の財務相会合で、成長支援型の財政政策で合意する公算が大きいことが7日、複数の関係筋の話で明らかになった。景気減速の懸念が高まる中、これまで示してきた「おおむね中立的な」財政スタンスから舵を切ることになる。

ユーロ圏ではドイツが財政支出拡大の呼び掛けにもかかわらず大規模な財政黒字を維持し、投資と成長押し上げに向けた取り組みは頓挫してきた。ただドイツが景気後退(リセッション)の可能性に直面し、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響が懸念される中、ユーロ加盟国はようやく景気減速の際の財政支出拡大で暫定的に合意したもようだ。

ユーロ加盟国が合意した文書の草案は「下向きリスクが顕在化した場合、より集合的なレベルでの一段の支援的なスタンスを目指し、財政対応は差別化される必要がある」と表明。ただ財政支出の拡大は欧州連合(EU)の財政規律を順守する必要があるとの考えが強調された。

EUの財政協定である安定・成長協定では、財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を3%以下にとどめることなどが規定されている。こうした制限は維持されるものの、ユーロ加盟国は来年の予算編成に着手するに当たり、安定よりも成長に軸足を置けるようになる。

欧州中央銀行(ECB)はこれまでもユーロ加盟各国に対し緩和的な金融政策を財政政策の拡大で補完するよう呼び掛けてきたが、各国のこうした動きは市場で歓迎される可能性がある。