【新】入山章栄と読み解く、ドラッカー『マネジメント』の本質

2020/2/8
今回、新たに始まるNewsPicksの音声番組「未来の古典を読み直す」。
過去数十年内に刊行された、名著として長く読み継がれるであろう一冊を取り上げ、その現代的な意味をゲストと語り合う企画だ。
初回に取り上げるのは、1974年に発売され、経営書のバイブルとして支持され続けているピーター・F・ドラッカーの『マネジメント』。解説には、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏を迎える。
実は入山氏、今までドラッカーの著作を読んだことがなかったという。その理由とは何か。また、初めて読み、どんな感想を抱いたか。経営学者の視点から読み解く(聞き手:NewsPicks 野村高文)。
*音声版の初回は無料でお聞きいただけます。

世界の経営学者はドラッカーを読まない

野村 初回のゲストとして、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。
入山 よろしくお願いします。
野村 初回はビジネス書の王道の1冊、ピーター・F・ドラッカーの『マネジメント』を取り上げます。
この本は原著が1973年、日本語版は1974年に刊行されました。今回は原著の入門書として2001年に刊行された、『マネジメント エッセンシャル版』をもとにお話しします。
本書は「組織は社会に貢献するためのもので、その中核に位置するのがマネジメントだ」と定義し、マネジメントや経営がどうあるべきかを解説している名著です。
これから入山さんと掘り下げていきますが、まずドラッカーと言えば、2009年に発売された『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(岩崎夏海/ダイヤモンド社)が大ブームを巻き起こしましたね。これを機に、『マネジメント』はいっそう知られるようになりました。
入山 そうですね。でも実のところ私自身は、この企画の話をいただいて初めて『マネジメント』を読んだんです。
野村 そうなんですか!?
入山 自分の話になって恐縮ですが、私はもともとアメリカのビジネススクールで経営学の博士号を取り、修了後もアメリカで講師をしていました。帰国して早稲田大学に勤めるようになったのは2013年です。
その前年の2012年に、日本で初めての著書『世界の経営学者はいま何を考えているのか』を出版したのですが、第1章の冒頭に「アメリカの経営学者はドラッカーを読まない」と書きました。