[シドニー 4日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は4日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の0.75%に据え置いた。市場では大規模な森林火災や中国で発生した新型コロナウイルスによる影響に懸念があるものの、中銀は強気の成長率見通しを変えなかった。

2020年の成長率見通しは2.75%、21年は3%にそれぞれ据え置いた。

ロイター調査ではアナリスト32人の過半数が金利据え置きを予想していた。

ロウ総裁は声明で、中銀の見通しは「低水準の金利、最近の税金還付、進行中のインフラ支出、資源部門の見通し改善、住宅建設の年内の回復見通し」が裏付けとなっていると指摘。

強気の声明を受けて豪ドルは1豪ドル=0.6680米ドルから0.6720米ドルに値上がりした。

エコノミストは現在、中銀が4月に政策金利を0.5%に引き下げると予想しており、先物市場は年内に政策金利が0.25%まで低下する可能性を織り込んでいる。森林火災とコロナウイルスによる肺炎の感染拡大が景気の先行きに暗い影を落としている。

ロウ総裁は、この2つの要因が「国内の成長率を一時的に押し下げる」と認め、低金利が長期間続く必要があるとの認識をあらためて示した。

豪ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のアナリストは、新型肺炎を受けた政府による渡航中止勧告で、第1・四半期の国内総生産(GDP)成長率が0.15%ポイント押し下げられる可能性があると分析。森林火災による一時的な悪影響も見込む。

中国はオーストラリアにとって最大の貿易相手国で、中国人の観光客や生徒は同国の2兆豪ドルに上る年間GDPの0.9%前後を占める。

市場の注目は5日のロウ総裁の講演と7日公表の中銀の四半期金融政策報告に移るとみられる。

*内容を追加しました。