[サンディエゴ 3日 ロイター] - ボスティック米アトランタ地区連銀総裁は、インフレが安定し米経済が完全雇用に極めて近い中、米連邦準備理事会(FRB)は当面は政策金利を現行水準に維持できるとの認識を示した。サンディエゴで開かれたグローバル・インターディペンデンス・センターの会合で講演した。

総裁は「インフレと雇用については、目標に完全には一致していないが、非常に近い状況にある」と指摘。「こうした状況は当面は続くと思われる。現状維持というわれわれの政策スタンスは極めて妥当」と述べた。

FRBは昨年、3度の利下げを実施し、政策金利となるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は現在1.5─1.75%。政策当局者の大半は、2020年いっぱいの金利据え置きが適切との見方を示している。一方、市場では、6月までに利下げするとの観測が強い。

総裁は会合の合間にインタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響について、昨年の3度の利下げの効果が浸透しつつあるとして、静観する考えを表明。「景気の状態に対して多めの刺激策が打たれたため、こういった問題への耐性が高まったはずだ」と指摘した。

新型コロナウイルスが多くの国・地域に波及する世界的な問題となれば「私が現在、理解しているのとは違う種類の問題になる」としたうえで、過去の経験を踏まえ、そのような想定はしていないと説明。「金利の道筋に関する私の見通しや期待値は変わっていない」と語った。

安定的なインフレと完全雇用に近い状況に加え、企業などが雇用や投資の計画を変更する兆しが見られないことから、「景気は今後も順調に推移するというシグナルが現時点で示されている」とした。

講演で総裁は、インフレ率について、PCE(個人消費支出)価格指数でみるとFRBが目標とする2%を下回っているが、他の指標では目標に一致しているか、もしくは目標に近い水準だと指摘した。

また、インフレ目標の達成状況を判断する際には、PCE価格指数だけではなく幅広い指標を参考にすることが可能と述べたほか、インフレ目標の設定手法の変更を排除しない姿勢を示唆した。

FRBは現在、金融政策の枠組みの見直しについて議論している。インフレ目標を巡っては、目標をレンジで設定する、一定期間のインフレ率の平均をみる案のほか、非常な低インフレが長期続いた後にはより高いインフレ率を容認することなどが、選択肢として挙がっている。

*内容を追加しました。