(ブルームバーグ): 国内証券最大手の野村ホールディングスが30日発表した2019年10-12月期の連結純利益は571億円だった。前年同期は、リーマン・ブラザーズなどののれんについて814億円の減損損失を計上したことから953億円の赤字だった。

債券トレーディングが好調だったほか、国内リテール部門の収益回復が奏功した。ホールセール部門は全分野が前四半期比で増収となり、債券関連の四半期ベースの収益が直近3年間で最高だった。営業部門も良好な市場環境を背景に投資信託や株式など全商品で募集買い付け額が伸びた。

海外拠点の税引き前損益は、米州が164 億円の黒字(前年同期は871億円の赤字)、欧州が23億円の黒字(同145億円の赤字)、アジア・オセアニアが10億円の黒字(同39億円の赤字)。合計では197億円の黒字(同1055億円の赤字)となった。

北村巧財務統括責任者(CFO)は会見で、「各部門で収益を伸ばすことができ、しっかりとした業績を残せた」と説明。1月は昨年12月と比較して「やや減速感があるものの、好調なモメンタムは維持できており、金利商品を中心に債券関連がけん引している」と述べた。

モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏は「ここ3四半期の野村HDの業績を見ると、破滅論者の悲観論は間違っていたことが分かる」と指摘。一方で「手数料収入の減少や高齢化社会といった構造問題が消え去ったわけではない。業績が好調なうちに国内リテールのデジタル化を進めるなど、次への布石を打つ必要がある」と述べた。

野村HDは昨年4月に、海外トレーディング部門など低成長・低収益ビジネスの縮小や欧州事業の見直しなどを柱とした構造改革を発表。22年3月期までの3年間で1400億円規模のコスト削減計画を実施している。

構造改革の進捗(しんちょく)状況について北村氏は、「12月末で60%台後半」と指摘。まだ道半ばで、コスト削減なども残っているとしながらも、トレーディングではボラティリティーの高いクレジットなどの事業を縮減してきており、それが好調さにつながっている部分もあると話した。

また、グループ最高執行責任者(COO)職を廃止し、森田敏夫共同COOが社長を務める野村証券の経営に4月1日から専念することを明らかにした。

(会見内容とアナリストコメントを追加して更新します)

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