【新】亀っちの部屋、再び。濱口秀司を「逆コンサル」

2020/2/2
2016年から17年にかけてNewsPicksで掲載された「亀っちの部屋」。DMM.com会長の亀山敬司氏がホストになり、各界で活躍する経営者や文化人を招待。脱力系ながらも本質をついたビジネス論を展開する連続対談企画だ。
今回、同連載が約3年ぶりに復活。Season2ではこれまでのテキスト版に加え、音声コンテンツも配信し、より「生の声」を味わえるようになった。
初回のゲストは、ビジネスデザイナーの濱口秀司氏。
濱口氏といえば、USBフラッシュメモリ、イントラネット、マイナスイオンドライヤーなど、百数十もの画期的なプロダクトのコンセプト作りを担当した「イノベーションの鬼」との異名を持つ。
「バイアスブレイク」をはじめとする数々の方法論を編み出したことでも知られ、濱口氏の半生に迫ったNewsPicksの特集記事は、大きな反響を巻き起こした。
そんな濱口氏は、実は亀山氏と一緒に飲みにいく間柄。DMMの経営戦略に関する助言も「興味本位で」行っているという。
しかし本対談では、「いつも世話になっているばかりでは悪いから」と、亀山氏から濱口氏に「逆コンサル」が行われる。
果たして亀山氏が伝えた「ビジネスパーソンにとって本当に大切なこと」とは何か。2人の関係をつないだ、経営ストラテジストの坂之上洋子氏も同席し、軽妙なトークが展開される。
*音声版の初回は無料でお聞きいただけます。

意外に気が合った2人

亀山 「亀っちの部屋」、また始まりました。「WEEKLY OCHIAI」を超えられるように頑張りま〜す。
──あの番組とは、客層がまったく違うと思いますが(笑)。
亀山 確かにそうかもね。さて初回は、濱口秀司さんと坂之上洋子さんに来てもらいました。
亀山敬司(かめやま・けいし)/DMM.com会長
1961年、石川県加賀市生まれ。石川県でレンタルビデオ店を開業後、1998年にインターネット事業に参入。現在、動画配信、ゲーム、3Dプリンター、英会話、FX、太陽光発電、教育事業など、多岐にわたる事業を展開している。
濱口 よろしくお願いします。
坂之上 濱口さんのことは、私が亀山さんに紹介したんですが、全然違うタイプの2人を引き合わせたら、どんな会話が生まれるだろうかと興味があったんです。
亀山さんは初め、濱口さんのようなコンサルタントを全く信用していなかったんですけど(笑)。
亀山 そうそう。コンサルなんてろくなもんじゃない、って。
坂之上 私が言うのも変ですが、気が合ったのは驚きでした。その後も、2人でよく飲みに行ってますよね。
──濱口さんから見て、亀山さんはどんな経営者なんですか?
濱口 そうですね。ちょっと長くなってもいいですか。
亀山 手短にね(笑)。
濱口 はい。僕たちは今、人類の第3世代に入るタイミングを生きています。第1世代はソクラテスやアリストテレスの時代です。
濱口秀司(はまぐち・ひでし)/ビジネスデザイナー
京都大学卒業後、松下電工(現パナソニック)に入社。全社戦略投資案件の意思決定分析担当となる。1994年、企業内イントラネットを考案・構築。98年から米国のデザインコンサルティング会社、Zibaに参画。99年、USBフラッシュメモリのコンセプトを立案。2009年に戦略ディレクターとしてZibaに再加入(現在はエグゼクティブ・フェロー)。2014年、コンサルティング会社monogotoをポートランドに創設。
亀山 いきなり壮大な話だな。2000年以上さかのぼったよ。
濱口 第1世代で哲学者たちが提唱したのは「二元論」、つまり世界には理論が2つあるということ。空には月が浮かんでいるのに、ボールを手放すと落ちるのはなぜか。それは「神のルール」と「地上のルール」があるからだと考えたのです。
「神とわれわれ」という二元論が思想や社会ともリンクし、これをベースに物理学や戯曲、文学などが生まれたのが第1世代です。

われわれは「第2世代」を生きている

亀山 それで?
濱口 時代が進みニュートンやガリレオが出ると、第1世代は終わりを迎えます。彼らは「神のルールと地上のルールは同じ」と提唱した。
それは神を否定する考えなので、ガリレオは裁判で殺されそうになりますが、画期的な思想の転換でした。