(ブルームバーグ): ファナックは29日、今期(2020年3月期)の連結営業利益予想を従来比17%増の806億円に上方修正した。設備投資の先送りなど経費削減が理由。市場予想は下回った。米中貿易摩擦の影響や為替動向、地政学的リスクが不透明要因としている。

営業利益予想は昨年7月と10月に下方修正していた。4-12月の設備投資額は前年同期より474億円少ない567億円に絞り込んだ。中国では春節明けに期待した工場設備の受注増加もあったという。想定為替レートは1ドル=100円、1ユーロ=115円を据え置いた。

山口賢治社長兼最高経営責任者(CEO)は上方修正について、市場環境が厳しい中、「先送りできる設備投資は先送りした」と説明。為替レートも想定より円安で推移した。今後は半導体や次世代通信規格(5G)関連の需要増に期待し、動向を注視したいとしている。

NC装置で世界シェアトップのファナックは、FA事業や産業用ロボット事業が主力。ブルームバーグのデータによると、韓国サムスン電子や台湾の鴻海精密工業、トヨタ自動車が供給先となっている。

日本ロボット工業会は、20年の産業用ロボット受注額は19年の実績見込みに比べ6%増の8700億円になると予想。工場の自動化や5G関連で需要が増加するとみている。

(上方修正の理由や山口社長の発言を追加しました)

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