[東京 28日 ロイター] - 日本生命保険[NPNLI.UL]は、今年度内に、海外不動産とインフラのファンドに約3500億円のコミットメント(出資約束)を実施する。低金利環境が長期化するなか、同社は従来からオルタナティブ投資を拡大する方針を打ち出していたが、不動産・インフラ関連では今回が過去最大規模の投資となる。

戸田和秀常務(有価証券運用担当、CIO)が28日、ロイターの取材に対して明らかにした。

いずれも、複数ファンドを束ねたファンドオブファンズ(FoF)経由で投資を行い、具体的には、海外不動産エクイティFoFに計2820億円、インフラエクイティFoFには650億円を3月末までにコミットする。

実際の出資は、ファンドからのキャピタルコール(拠出依頼)を受けて、5年程度をかけて徐々に行われる。

同社の海外不動産・インフラ領域の投資残高は、昨年度末時点の1800億円から、「来年度末にはほぼ倍増するイメージ」という。

投資利回りについては、「1桁台の後半、平均で8%前後」を想定している。

戸田常務は、「当社はオルタナティブ投資の歴史自体は短くないが、金額については、運用資産規模から見てまだ増やす余地がある。国内外の国債利回りがおしなべて低下する中、低リスクの国内債券投資を続ける一方で、これまで残高が少なかった低流動性資産への分散投資で高いリターンを追求し、ポートフォリオ全体の収益力を向上させたい」と語った。

日本生命では、オルタナティブ投資の推進と併せて、円金利資産についても、金利スワップや金利オプションなどデリバティブの活用を通じて、運用の効率化を進めている。債券の現物を購入するのと同様のリターンを、より少ない資金で得ることができるためだ。

事情を知る市場関係者によると、日本生命は昨年後半に(債券の買いに相当する)超長期の金利スワップのレシーブのポジションを大幅に増額したとみられる。

*内容を追加しました。

(植竹知子 佐野日出之 田巻一彦)