[27日 ロイター] - ドイツのIFO経済研究所が発表した1月の業況指数は95.9と、昨年12月の96.3から予想に反して低下した。昨年、辛うじてリセッション(景気後退)を回避したドイツ経済が、2020年も低調なスタートを切ったこと示唆した。

ロイターがまとめたコンセンサス予想は97.0だった。

IFOのクレメンス・フュースト所長は「ドイツ経済は今年、慎重ムードで始まった」と述べ、企業の現状認識はやや改善したものの、先行きに悲観的な見方を強めたと指摘した。

またサービス業の信頼感低下が顕著で、建設業でもやや悪化している一方、これまで低迷していた製造業には回復の兆しが出ていると述べた。

IFOのエコノミスト、クラウス・ボールラーベ氏は、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感が後退し、米中貿易摩擦も第1段階合意という節目を超えたことで、事業の不確実性がここ3カ月で低下したと述べた。また、今回の調査で、イランを巡る緊張の影響はさほどみられなかったと指摘した。

ボールラーベ氏は、昨年第4・四半期の経済成長率を0.1%と推定。今年第1・四半期の経済成長率は0.2%になる公算が大きいとの見方を示した。

製造業の需要が回復しており、慎重ながらも楽観できるとしている。

中国湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスについては、ドイツ経済への影響はまだ見られないと指摘した。

オックスフォード・エコノミクスのアンドリュー・カニンガム氏は、IFOの数字について、独製造業の改善は内需の段階的な悪化によって一部相殺されてしまうことを示していると述べ、「今年上半期の独経済は極めて低水準の成長が続くだろう」との見通しを示した。

同国経済の屋台骨である自動車産業が外需の後退や規制強化、電気自動車へのシフトへの対応に苦戦するなか、今年は雇用や賃金の伸びが鈍化することが見込まれている。

この日のIFOの数字は、先週24日に発表された1月のドイツ購買担当者景気指数(PMI)速報値が、サービス部門の景況が一段と拡大したことや、製造業の落ち込みが和らいだことを示したのとは対照的な結果となった。

*内容を追加しました。