[ニューヨーク 21日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、中国で新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を背景に人民元が急落する一方、安全資産としての円に買いが入った。中国湖北省武漢市で検出され感染が広がった新型コロナウイルスによる肺炎は、首都北京や上海、広東省でも感染者を確認。この日は米疾病対策センター(CDC)が米国内で初の患者を確認したと発表した。

別の種類のコロナウイルスが原因だった2002ー03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染拡大が連想されたことで世界的に株価が下落。ソシエテ・ジェネラルのアナリスト、キット・ジャックス氏は「あらゆる場面でリスク回避の動きが出ており、外為市場では円とスイスフランが上昇した」と述べた。

オフショア人民元<CNH=>は1ドル=6.9073元と、0.60%安。中国動向に左右されやすい通貨も連れ安となり、豪ドル<AUD=>は0.6842米ドルと、約1カ月ぶりの安値を付けた。

ドル/円<JPY=>は0.35%安の109.79円。

ユーロ<EUR=>は好調な経済指標などを受け一時1.1118ドルまで上昇。ただその後は失速し、終盤の取引では0.03%安の1.1091ドルとなった。

ユーロ圏ではドイツ欧州経済センター(ZEW)発表の1月の独ZEW景気期待指数が、米中の「第1段階」の通商合意署名を受け2015年7月以来の高水準を付けた。このほか、欧州中央銀行(ECB)が23日の理事会でユーロ圏経済に対する楽観的な見方を示すとの期待もユーロ上昇の要因となっていた。TD証券(ニューヨーク)のシニア外為ストラテジスト、マゼン・イッサ氏は「ユーロに対しては慎重ながらも楽観的な見方が出ていた」と述べた。

英ポンド<GBP=>は0.34%高の1.3053ドル。英国立統計局(ONS)の統計で9─11月の英就業者数が18年11月─19年1月以来の大幅増を記録したことが押し上げ要因となった。

ドル/円 NY終値 109.86/109.89

始値 110.05

高値 110.11

安値 109.77

ユーロ/ドル NY終値 1.1082/1.1086

始値 1.1105

高値 1.1118

安値 1.1082