[21日 ロイター] - 米疾病対策センター(CDC)は21日、西部ワシントン州シアトルで、最近中国に渡航した米国居住の男性が、中国の武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎と診断されたと発表した。

これまでに中国以外では日本、タイ、韓国、台湾で患者が報告されていたが、米国内での患者の報告は初めて。すでに中国では300人以上が感染し、少なくとも6人が死亡した。

CDCは前週から、サンフランシスコ空港、ニューヨークのケネディ国際空港、ロサンゼルス空港で、中国からの渡航者を対象に検疫体制を強化していたが、21日にアトランタとシカゴの空港でも強化すると発表した。

感染が確認された男性は、1月15日に帰国。入国したシアトル・タコマ国際空港は検疫体制強化の対象とはなっていない。男性は帰国後にワシントン州内の医療機関で受診。渡航歴や症状から感染が疑われ、CDCが検査したところ感染していたことが分かった。CDCとワシントン州の保健当局によると、男性の症状はさほど重くなかったという。

CDCは、米国内での感染拡大に備えているとし、武漢への渡航の警戒レベルを2に引き上げ、渡航者に対して、病気の人や動物との接触を避け、動物が売られている市場にも近づかないよう指示した。

一方、ジョンズ・ホプキンス大学のセンター・フォー・ヘルス・セキュリティーのAmesh Adalja博士は、現状から推測すると、新型コロナウイルスは、これまで大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)ほどの影響が出るとは思わないとコメントした。

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