[ベルリン 21日 ロイター] - ドイツ欧州経済センター(ZEW)が21日に発表した1月の独ZEW景気期待指数は26.7と、前月の10.7から大きく上昇した。米中が通商交渉で「第1段階」の合意に署名したことで楽観的な見方が台頭し、予想の15.0を超え、2015年7月以来の高水準を付けた。

現況指数はマイナス9.5と、前月のマイナス19.9から大幅に改善。アナリスト予想のマイナス13.5も上回った。

米中は今月15日、貿易交渉を巡る「第1段階」の合意に署名。一部関税措置を取り下げるほか、中国は米国からモノとサービスの輸入を拡大させ、1年半に及ぶ米中貿易戦争がようやく休戦に向かう。

ZEWのワムバッハ所長は、この第1段階の合意の署名を受け心理が改善したと指摘。「独経済が米中貿易戦争から受けるマイナスの影響は予想ほど大きくないとの考えが台頭した」と述べた。

ただ通商問題の専門家は米中合意が独経済、およびユーロ圏経済に直接的な恩恵をもたらすか疑念を表明。ワムバッハ所長も独経済成長率が長期平均を下回る状態は続くとの見方を示した。

トランプ米大統領が引き金を引いた通商問題や外需の低迷などが重しとなり、独経済成長率は19年は0.6%と、13年以来の水準に減速。独有力経済団体、ドイツ産業連盟(BDI)は製造業に改善の兆しは出ておらず、今年の経済成長は一段と減速するとの見方を示している。

オックスフォードエコノミクスのアナリスト、ダニエラ・オルドネス氏は、ユーロ圏全体の経済成長は当面は低迷すると予想。「世界的な貿易の低迷のほか、先行き不透明感がなお強いことが製造業部門の回復の重しとなる中で、財政政策による支援が不十分な状態は続く」と述べた。

ドイツのキール世界経済研究所(IfW)のプレジデント、ガブリエル・フェルベルマイヤー氏は、米中の第1段階の合意により世界貿易の流れが変わり、欧州のモノに対する需要が約110億ドル減少すると試算。ドイツが最も大きな影響を受けると見方を示した。