[ワシントン 20日 ロイター] - 21日から米上院でトランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾裁判の審理が開始されるのを前に、同大統領は20日、下院民主党が弾劾訴追の根拠とした権力乱用と議会妨害に反論する文書を発表した。

文書では「上院は迅速に不完全な弾劾訴追の根拠を退け、大統領の無罪を証明すべきだ」とした。

弾劾訴追の根拠について「下院民主党は『権力乱用』という見解を示しているが、弾劾訴追に値する不正行為ではない」と主張。議会妨害についても、法的権利を行使したに過ぎず、法的な問題はなかったと主張した。

文書はさらに、下院民主党が不正な手続きを進めたと批判した。

ウクライナ疑惑を巡っては、トランプ大統領が権力を行使し、政敵のジョー・バイデン前米副大統領と息子の調査をするようウクライナに圧力を掛け、その後議会による調査を妨害したとされている。

トランプ大統領は不正行為を否定。弁護団もトランプ氏によるウクライナに対する圧力は憲法上の権限によるもので、法的に問題はなかったと主張している。

トランプ大統領は、弾劾裁判を受ける歴代4人目の大統領。上院は与党共和党が多数派のため、弾劾裁判でトランプ氏が有罪・罷免となる可能性は低い。ただ、11月の大統領選で再選を果たすため、トランプ氏は民主党の批判を封じ込め、政治的なダメージを最小限に抑える必要がある。

トランプ氏が提出した法的文書で、同氏の弁護団は「(民主党は)2020年の選挙に介入するため弾劾訴追を利用している。選挙のある年に大統領弾劾を検討するよう上院が求められていることは、偶然ではない」と主張し、「簡潔に述べると、米国経済に再び繁栄をもたらし、米国の軍隊を立て直し、国外の敵対者に立ち向かったというトランプ氏の実績について民主党からの反応は何もない」と指摘した。

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