[東京 16日 ロイター] - 内閣府が16日に発表した11月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は前月比18.0%増の9427億円と5か月ぶりの増加となった。

ロイター事前予測の3.2%増を大きく上回り、2005年4月以来の高い伸びとなった。ただ、鉄道車両の大型案件が2件あり、非製造業の受注を押し上げたことが主因で、製造業・非製造業ともに主要業種の動きはさえず、企業の設備投資姿勢は機械受注の見かけの数字ほどの力強さは感じられない結果となった。

内閣府は、機械受注の判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。

<非製造業が大幅増、製造業はほぼ横ばい>

製造業からの受注は前月比0.6%増と、ほぼ横ばい。窯業・土石や鉄鋼業は前月の減少の反動で増加。自動車関連も前月の大幅増の後でもプラスを維持。しかし、一般機械や電気機械の動きは弱く、全体としてけん引役は見当たらない。

世界的には半導体サイクルの底入れや米中摩擦のひとまずの合意などを背景に製造業の設備投資については期待感もある。ただ、海外からの受注である外需は前月比11.5%減となり、夏場以降、一進一退が続いており、世界経済の回復や製造業への波及は、まだ不透明だ。

一方、非製造業は2カ月ぶりの増加で前月比27.8%の大幅増。運輸業・郵便業からの鉄道車両の大型案件が2件あった要因が大きい。加えて農林漁業が前月からの反動増で2桁増、金融業・保険業も2カ月連続増となったことが寄与した。

<大型案件剥落で12月大幅減の可能性も>

もっとも、増税後の消費の動きが注目される中で、小売業や卸売業からの受注は4カ月連続で減少しており、通信業も減少が続いている。非製造業の投資姿勢は慎重ともいえそうだ。

大型案件の影響を除いた機械受注の趨勢について、農林中金総研の南武志・主席研究員が試算したところ、「運輸業・郵便業」を除く国内民需からの機械受注は、前月比でマイナス3.9%になるという。12月には鉄道車両の受注分が剝落し、前月比で大幅減少となる可能性も高い。同氏は10-12月期の機械受注は、7─9月の減少に続きマイナスとなる可能性もあるとみている。

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(中川泉 編集:内田慎一)