[台北 12日 ロイター] - 中国は12日、前日投開票された台湾総統選で中国を厳しく批判した現職の蔡英文氏が勝利を収めたことを受け、台湾が中国の一部であるとの中国の立場に変わりはないと強調した。

中国外務省は、声明で「台湾内部の状況にどういった変化があろうとも、中国は世界に1つで台湾はその一部であるという基本的事実に変わりはない」とした。

11日に投開票された台湾総統選は、蔡英文氏が地滑り的勝利を収めた。軍事的なムチと経済的なアメを使って自国制度の受け入れを迫る中国との緊張が、さらに高まる可能性がある。

今回の選挙は民主化を求める香港の反政府活動が大きな争点で、蔡陣営は台湾がデモ参加者の希望だと訴え、中国が提案する「一国二制度」を拒否。過去最多となる約820万票を獲得し、親中姿勢を取る最大野党・国民党の韓国瑜高雄市長を260万票以上の差で破った。

蔡氏は11日、中国に対話の再開を求めた上で、中国が台湾を理解することに期待を示し、中国の脅しには屈しないと表明した。

同氏は12日には、台湾にある米代表機関、米国在台協会(AIT)台北事務所のブレント・クリステンセン所長と会談し「台湾の人々は再び投票によって民主主義の価値を示した。民主主義と自由はまさに台湾の最も貴重な資産であり、台湾と米国の長期パートナーシップの基礎だ」と述べ、防衛や経済などの分野で米国との協力を強化する方針を表明した。

一方、中国外務省は「一つの中国」原則に関する中国の立場に変わりはないとし、台湾の独立に反対。「『一つの中国』を支持する国際社会の総意も変わらない」と強調した。分離独立派に反対し、「国家再統一の実現」を目指す中国の人々の「正当な理由」を国際社会が支持することに期待を示した。

中国国営の新華社は、蔡氏が卑劣な手を使い、中国の脅威を誇張し、西側と結託して総統選に勝利したと非難した。

台湾の重要な後ろ盾で、兵器を売却している米国は、再選された蔡氏に祝辞を送った。ポンペオ国務長官は声明で「米国との強固な関係を築いてきた蔡総統に感謝する。容赦ない圧力に直面しながらも、(中台)両岸の安定維持に尽力していることを称賛する」と語った。

茂木敏充外相も、台湾を「大切な友人」と表現し、蔡氏に祝意を表した。

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