[ブリュッセル 10日 ロイター] - 欧州連合(EU)外相は10日に開催した緊急会合で、イランに対する国連制裁再開を見送る一方、イランに対し核合意を順守するよう改めて求めた。

緊急会合は、米イランの対立が懸念される中で開催され、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長も参加した。

ジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表は会合後、記者団に対し「戦争を行う余裕はない。迅速な緊張緩和と最大限の自制を求める」と指摘。会合では緊張緩和に向け外交面を強化することで合意したと語った。ただ核合意の維持やイラクに対する支援強化以外の詳細については触れなかった。

ボレル代表は「イランが再び(核合意を)全面的に順守することを求める。イランの活動に対する監視・検証の継続については国際原子力機関(IAEA)に依拠する」と述べた。

外交筋によると、英独仏は2015年のイラン核合意の下での紛争解決手続きに着手することに合意しており、イランに対する国連制裁再開につながる可能性がある。ただ、イランが強硬的な反応を示すことを恐れ、二の足を踏んでいるという。

緊急会合前にはフランスのルドリアン外相が、イランが核合意を完全に放棄すれば、1─2年で核兵器を保有する可能性があると警告。また、ドイツのマース外相はブリュッセルで記者団に対し「核合意が将来も維持されることを望むが、それは核合意が順守された場合のみであり、イランによる順守を期待する」と述べた。

EU外相会合ではまた、イラク国内で過激派組織「イスラム国」(IS)と対立している米軍を中心とした連合軍が弱体化する可能性について懸念が示された。

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