[東京 8日 ロイター] - 8日午前の東京市場では、米とイランの対立激化に対する懸念からリスクオフの流れが加速した。株価が大幅安となる一方、ドル安/円高が進み、金と原油が急騰するなど、各市場で激しい値動きとなった。

前場の日経平均<.N225>は一時前営業日比600円を超えて下落。昨年11月以来の2万3000円割れとなる場面があった。ただ、前引けにかけてはやや値を戻した。米CNNが「7日夜にトランプ大統領が演説する」と報道し関心が集まっていたものの、その後ホワイトハウスは予定はないと発表したことを受け、売りは一段落した。

CMCマーケッツ(シドニー)のアジア太平洋地域・カナダ担当セールス責任者、アシュリー・グローバー氏は「米国が報復するかどうかを注視しており、トランプ米大統領が何かコメントするまで、市場には様子見姿勢が広がるだろう」と指摘した。

また「中東情勢悪化に伴い原油価格が上昇することによって各セクターが受ける影響についても考える必要がある」(岡三アセットマネジメント・シニアストラテジストの前野達志氏)との声も出ていた。

外為市場では、ドル/円<JPY=>が一時107.65円まで下落し、昨年10月10日以来3カ月ぶり安値を更新する場面があった。その後は、アジア株が持ちこたえていることや、米株先物が下げ幅をやや縮めていることなどを受け、108円台へ再び上昇している。

一方、債券市場では、安全資産への逃避買いが入り、国債先物中心限月3月限が前営業日比22銭高の152円36銭と反発して午前の取引を終えた。10年最長期国債利回り(長期金利)は同2.0bp低下のマイナス0.030%。

金も、安全資産への逃避とドル安を受けて急伸。金現物<XAU=>は1.91%高の1オンス=1603.93ドルを付けた。

原油も大幅高。米原油先物<CLc1>はアジア時間に一時4.42%高の1バレル=65.47ドルとなった。

イランは8日未明、米軍が駐留するイラクのアル・アサド空軍基地に複数のロケット弾を発射した。

米国防総省によると、米国主導の有志連合軍が駐留する少なくとも2カ所のイラク軍基地に対し、イランから十数発の弾道ミサイルが発射された。米国防総省は声明で「状況と対応策を判断したうえで、米国人、パートナー、地域の同盟国を守るため、必要なあらゆる措置を講じる」と述べた。

*内容を追加しました。

(佐々木美和 編集:内田慎一)