[ワシントン 5日 ロイター] - ポンペオ米国務長官は5日、米軍によるイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官殺害について、長期的脅威に対応して行動を取ったと述べて正当性を強調した。

議会民主党からは、トランプ政権がなぜこのタイミングで同司令官を殺害したかが不明だとの声が上がっている。一方、共和党議員らは概してトランプ大統領の決定を支持している。

ポンペオ氏は複数のテレビ番組で、3日のソレイマニ司令官の殺害を巡る情報に接した政府高官らの間で「懐疑的な見方はない」と言明、同司令官は長期的で幅広い脅威をもたらしていたと説明した。

米NBCの番組では「今回のような行動を私たちが取らなかったとしたら、職務怠慢として非難されていたところだ」と強調し、「1つの出来事や瞬間が決定的になるわけでは決してない。リスクや分析結果の完全な把握によって決定に至った」と語った。

下院民主党のシフ情報特別委員長は米CNNの番組で、ソレイマニ司令官は何十年も米国に対して陰謀を企ててきたが、殺害を正当化するほどの脅威があったと十分に裏付ける情報を議会は得ていないと指摘。

「今、殺害する必要性があったのかどうかが問題だ」と述べ、「イランの最高幹部殺害が米国に対する陰謀の停止につながる、あるいは米国の安全保障を改善するとの結論を裏付ける情報があるとは思えない」とした。

これに対し、ポンペオ氏は、同司令官の殺害によって米国の安全保障は強化されたとの見方を繰り返し表明。一方、イランが報復した場合に備えて講じている諸方策にも言及した。

今年の米大統領選で民主党の候補指名を争うウォーレン上院議員は、トランプ氏は上院での弾劾裁判が控えるタイミングで司令官を殺害したと指摘。民主党のマーク・ウォーナー上院議員は、イラン側を「あざける」トランプ氏の一連のツイートは政権が目指す緊張緩和に逆行していると批判した。

トランプ氏は4日、ソレイマニ司令官殺害を受けてイランが米国人や米国の施設を攻撃した場合、イランの施設52カ所を「非常に激しく」攻撃するとツイッターに投稿した。

ポンペオ氏は、同司令官殺害の根拠となる情報は議会指導部と共有しているとし、今週に再び事情説明を行うと述べた。

米ABCの番組では「私たちはイラン政権側に『もうたくさんだ』と伝えた。代理勢力を使うことで自国の安全を守ろうとするのは許されない。実際の意思決定者、つまりイランがもたらす脅威の根幹をつくってる人々に米国は対応を取る」と強調した。