[東京 18日 ロイター] - 日立製作所は18日、連結子会社・日立化成の株式を昭和電工に、画像診断関連事業を富士フイルムホールディングスに、それぞれ売却すると発表した。一方、南アフリカの火力発電所建設事業で損失負担を巡って対立していた三菱重工業との和解も発表した。

前者はIoT(モノのインターネット)事業への経営資源集中に向けた事業再編の一環で、後者では対立案件のリスクが取り除かれた格好だ。

<加速する事業再編>

日立はこの日、画像診断関連事業を富士フイルムに売却するほか、昭和電工が実施する日立化成への公開買い付けにも応募すると正式発表した。[nL4N28S15R][nL4N28S21F]

画像診断関連事業については、約1790億円の事業価値があるとの見積もりで富士フイルムと合意しており、2021年3月期の連結決算で事業再編利益約1100億円を計上する予定。

一方で日立は現在、連結子会社・日立化成の普通株式を51.2%保有しており、公開買い付けへの応募による譲渡価格は約4940億円となる見通し。

20年3月期中にすべての株式が売却された場合、同期の連結決算に事業再編等利益約2780億円を計上する予定。

同日の説明会で西野壽一副社長は「事業の選択と集中を一層進め、デジタルソリューション分野に力を入れる。社会イノベーション事業のグローバルリーダーへの変革を加速したい」と述べた。

<三菱重、支払い減額に応じる>

一方、日立は三菱重と南アの火力発電プロジェクトをめぐる対立での和解も発表した。合弁会社である三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の日立所有株式全て(保有比率35%)を三菱重に引き渡す。

MHPS子会社に対する債権を700億円で三菱重工に譲渡するため、日立が三菱重に対して支払う和解金は差し引き1300億円となる。

和解に伴い日立は、2020年3月期個別決算で特別損失3840億円を、連結決算でその他の費用として3780億円をそれぞれ計上する見通し。[nL4N28S23X]

MHPSは2014年に共同設立され、南アフリカの石炭火力発電所の建設プロジェクトを日立側から引き継いだ。現地の労使紛争などで工期が大幅に遅れコストも膨らんだ。

三菱重工と日立は追加コストをめぐり対立を深め、三菱重工は日立に約7700億円の支払いを求めていたが、その水準からは減額となった。

同プロジェクトは、設計(Engineering)と機材調達(Procurement)、建設工事(Construction)を一括で請け負うEPC事業だった。説明会に同席した西山光秋専務は「当社の課題として認識していた過去の大口EPCプロジェクト関連の最後に残ったリスクが南アのプロジェクトだった」と説明した。

<今期業績は下方修正>

日立化成売却による利益を計上するものの、三菱重工との和解による特別損失で、2020年3月期の連結純利益見通しを1700億円(従来予想は3600億円)に下方修正した。

西山専務は、三菱重工との対立は最低限の現金支出で解決できたとの認識を示し「19年度の業績は下方修正となったが、大口EPCプロジェクトに派生するリスクを遮断することができた」と述べた。この上で「M&Aを含む成長のための事業投資、株主還元の安定的な拡充を進めていく考え方を維持する」と説明した。

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